
<高校野球練習試合:学法石川2-0盛岡大付>◇6日◇宮城・仙台市
弾みをつける1発を放った。学法石川(福島)と盛岡大付(岩手)が6日、宮城・仙台市内で練習試合を行い、2-0で学法石川が勝利した。4回2死、大栄利哉主将(3年)が高校通算13本目となる右越えソロ本塁打を放ち均衡を破った。両校とも選手権大会前の練習試合を終えた。収穫の多い一戦を経て、夏本番に臨む。
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主将がバットでみせた。4回2死、大栄はカウント1-0から盛岡大付の4番手・新村のカーブをフルスイングし右翼席へ運んだ。先月21日の常総学院(茨城)との練習試合以来の高校通算13号。軽快にダイヤモンドを回り「気持ちよかったです。打点を稼ぐ役割を果たせて良かった」と、夏本番につながる1発に手応えを感じた。
悔しさを無駄にはしない。春の東北大会では準々決勝の八戸学院光星(青森)に8-1で7回コールド負け。試合後、佐々木順一朗監督(65)から「スコアボードを見ろ」と言われ、大栄は「もうこんな負け方はしたくない。もう1度、束になって戦っていきたい」と前を向いた。
ミーティングで「協力態勢をもう1度大切に」と立て直しを図った。ノックでは、ミスをした後のネクストプレーの素早さや、送球プレーのカバリングを強化。「練習ではミスを恐れずに、挑戦して攻めていこう」と1プレーに全力を注いだ。
野球以外でも3年生は朝食や登下校をともにし、チームワークを深めてきた。チームの成長を感じながら、大会前最後の練習試合を白星で締めた。満足はしていない。好機を生かせない場面やサインミスもあった。大栄は「まだ協力態勢が完璧ではない。これからもっとコミュニケーションを取っていきたい」と本番に向け気を引き締めた。
14日に初戦を迎える。会津学鳳と郡山の勝者が相手。「夏は気を緩めたら終わりだと思うので、心をひとつに一戦必勝で戦っていきたい」。26年ぶりの夏の聖地へ向け、一丸で挑む。【高橋香奈】
◆大栄利哉(おおさかえ・としや)2007年(平19)4月23日生まれ、福島県いわき市出身。小4から小名浜少年野球教室で野球を始め、石川義塾中では軟式野球部。学法石川では1年秋からベンチ入り。2年でセンバツ出場。昨秋から主将を務め秋季東北大会、春季東北大会出場をけん引した。25年のU18日本代表候補に選出。本職は捕手だが投手も兼任する。177センチ、84キロ。右投げ左打ち。
○…盛岡大付の1番左翼で先発出場した金井拓海外野手(3年)は「チームがひとつになって、気持ちの面で成長につながる試合ができました」と話した。14日の初戦に向けて「自分たちは3年間甲子園から遠ざかっているので、その3年分の思いも背負って死に物狂いでやっていきたいと思います」と21年以来の岩手の頂点へ、力強く意気込んだ。