
<新潟大会・注目選手(6)>
第107回全国高校野球選手権新潟大会が9日、開幕する。65チーム(76校)が甲子園出場切符を争う。日刊スポーツでは大会の注目選手を紹介する。第6回は北越初優勝の鍵を握る、完全復活の小林創投手(3年)。最速140キロの直球を軸に、必殺変化球・縦スライダーを武器に打者を手玉に取る。1年春からベンチ入りするなど期待されてきたが、度重なるケガもあり、公式戦の登板機会は数えるほど。高校生活集大成の夏でカムバックした右腕が本領を発揮する。第2シードの北越は初戦の2回戦で、加茂暁星と新潟青陵の勝者と対戦する。
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小林創が、開幕を心待ちにしている。度重なる故障に苦しんできたが、最後の夏は万全の状態で迎えられる。「早く始まって欲しい。自分が投げて初優勝を決めたい」と言葉は弾む。6月下旬に行った大学生との練習試合は2回無失点。躍動する準備は整っている。
準優勝した春季県大会と、続く北信越大会は右足の捻挫で登板なし。昨秋は右肩痛でマウンドに上がらず外野の守備についた。1年春からベンチ入りも、ここまでの公式戦登板は5イニング未満。投手として力を表現する機会は少なかったが、「この夏まで取っておいた」とニヤリと笑う。
最速140キロの直球で強気に押しながら、横にも縦にも割れるスライダーを自在に操る。北越入学後に二塁手から投手に転向。炭水化物をメインとした1日5食の食事と筋トレで肉体改造し、体重を1年時から10キロ増の70キロに乗せた。上半身と下半身の動きを連動させるために股関節の稼働域も広げ、身体能力の高さを最大限に生かすフォームを手に入れた。
相手が強ければ強いほど燃えるタイプ-。マウンド度胸もピカイチで、高いプレッシャーを伴う場面でも萎縮せずに力を発揮する。参考にするプロ野球選手はいないが「チームメートや対戦校の投手を参考にしている」。吸収力も強い。小島清監督は「本能で投げるタイプ」と笑いながら、「初めて対戦する打者は苦戦すると思うな」。信頼してマウンドに送り出す。
投手陣はエース左腕の手戸芳紘(3年)、春季大会で台頭した伊藤龍之介(2年)ら個性豊かなメンバーがそろうが、「北越には俺もいるぞ、と示す。ベンチに入れなかった仲間の気持ちも込めて投げる」。チームの目標は甲子園8強。全部員の思いを込め、完全復活した切り札が右腕を振る。【小林忠】
◆小林創(こばやし・そう)2008年(平20)2月28日生まれ、新潟県長岡市出身。青葉台小2年で青葉台BCスポーツ少年団に入団して野球を始め、青葉台中では長岡リトルシニアに所属。北越高では1年春からベンチ入り。持ち球は直球、スライダー、カーブ、チェンジアップ。2歳上の兄は新潟明訓で外野手として活躍した倖さん。176センチ、70キロ。右投げ右打ち。