
J1最下位の20位と苦闘を続ける横浜F・マリノスが、19位の横浜FCとの「裏天王山」ダービーに全力を挙げて勝ち点3を奪いにかかる。試合前日の4日、横須賀市内のクラブ施設でトレーニングを実施。反転攻勢への攻守のキーマンと目される、長期離脱から復帰したFW宮市亮(32)、コロンビア出身DFジェイソン・キニョーネス(27)が意欲を語った。
前節湘南ベルマーレ戦(1-1)は、横浜本来の攻撃的なサッカーが展開され、多くの得点機を作った。勝ち越し点を奪えなかった反省はあるものの、チームはより手応えを深めている。
右ハムストリングの肉離れで1カ月間の離脱を経て、湘南戦の後半途中からピッチに戻ってきた宮市は「あそこまでの形を何本も作れたのはポジティブ。個人としても足の不安はなく、スムーズに試合に入れた」と話した。
J1残留を争うチーム同士の直接対決となる横浜FCとのダービー戦は、浮上への足掛かりとするためにも絶対落とせない一戦だ。
「このダービーは重要度の高いゲームになる。絶対に勝たなきゃいけない。ただ勝たなきゃいけないと思いながら、1分1分いいプレーを積み重ねて90分を通せば、結果として(勝ち点3は)付いてくる。ホイッスルが鳴った瞬間からチーム全員で1分1分を刻んでいって最高のゲームにしたい」
そうチームの思いを代弁した。湘南戦の同点ゴールは、FWエウベルの相手背後を突く動き、そこへMF天野純の正確な縦パスが絶妙にかみ合ったものだった。チームとしてあらためて相手DFラインの背後を突く意識を確認し、準備を進めてきた。
「背後への意識から得点が生まれた。もう1回、そこに立ち返っていきたい。それは自分のストロング。そこを存分に発揮していチームに貢献したい」と意気込んだ。
宮市は度重なる筋肉系の負傷を予防するため、体幹を鍛える「ピラティス」のジムに通っているという。「リハビリって筋力アップというふうにアウターの筋力を付けがちになる。より細かい筋肉のところから整えて、大きくしていきましょうという今までの自分にない概念で、新たな発見になっている」と手応えを口にした。巻き返しへ、その表情は明るかった。
また、4月9日の川崎フロンターレ戦で重度の左ハムストリングの肉離れを追ったキニョーネスも完全にトレーニングをこなせており、試合に出る準備は整った。
「特別な試合になる。残留争いの直接対決、チームとしてもしっかり準備している。本当に大事な落とせない試合。我々の準備しているところを見せたい」
勝負のポイントは先制点とみている。3連敗の後に前節はドローに持ちこんだが、失点から試合状況を難しくしている傾向が強い。それだけに「いつでも出る準備はできている。もし出場したら、守る者としてゼロでしっかり抑えたい」と肝に銘じる。
今季はDFリーダーとしてJ1開幕前のアジアチャンピオンズリーグ・エリートから出場してきたが、負傷によって3カ月近くも離脱。その間にホーランド監督、キスノーボ監督と指揮官が2人も交代する事態に陥ってしまった。「思ったより負傷は長かった。ただ自分は以前より強くなった」とパワーアップを強調する。大島秀夫監督も「かなりいい練習ができている。(キニョーネスは)試合に出たくてウズウズしていると思う」と話し、ダービーでの戦列復帰はありそう。
FW遠野大弥が右アキレス腱断裂で長期離脱となった一方、この宮市とキニョーネスに加え、4月下旬から離脱していたMFジャン・クルード、さらには5月中旬から離脱していたDF諏訪間幸成もチームに合流。実力ある選手たちが戻ってきたこともあって、チームの雰囲気は悪くない。
大島監督は「順位的にもすごく重要な試合。プラスアルファで横浜ダービー、ダービーと言えば絶対に負けてはいけない。マリノスのエンブレム、そのプライドに懸けて負けない」と勝利を誓った。