
<ソフトバンク4-1日本ハム>◇3日◇みずほペイペイドーム
ソフトバンクが今季3度目の同一カード3連勝で日本ハムを首位から引きずり下ろし、今季初の2位に浮上した。先発松本晴投手(25)が全てプロ3年目で最多の7回、123球、14奪三振の大車輪。強力打線を自責0の1失点にまとめ、3勝目を挙げた。5月1日に単独最下位で最大借金7だったチームは約2カ月で驚異のV字回復。首位に立ったオリックス、2位ソフトバンク、3位日本ハムの3チームが0ゲーム差にひしめく大混パとなった。鷹がきょうにも首位に立つ。
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涼しいはずのみずほペイペイドームで大量の汗をぬぐった。松本晴にとってプロ初の7回のマウンド。未知の領域に足を踏み入れたが逆に、集中力が増した。「投げながら感覚が良くなった。体は疲れてるけど頭はすごくさえていて集中していた」。無死一塁から3者連続三振を決め、お役御免となった。
7回、123球、14奪三振は全てキャリアハイ。特に右打者の内角に沈むスライダーを効果的に使い、4回1死からは5者連続三振を奪った。「今までは疲れる前に打たれて降板とか、そういうのが多くて、自分の力を出し切れないまま降板することが多かった」。この日は初回から全力投球を試み、疲労がたまってきたところで「徐々に自分のリズムに乗って投げ方をつかんだ」と0を並べ続けた。小久保監督も「球威は5、6回で落ちていたけど、コントロールは良くなった。球威以外のところでいいところを出してくれた」と何度もうなずいた。
6回終了時点で106球だったが、首脳陣は続投させた。小久保監督は迷いがありながら「相手バッターが嫌がっていたから」と説明。結果的に自責0、1失点の熱投で続投に応えた。今季は日本ハム戦で3試合に登板し、1勝0敗、防御率0・66。中継ぎ1試合を含め、13回2/3を自責1の好相性を誇る。日本ハムは今後も上位争いを繰り広げていくであろうライバル。相手に苦手イメージを植えつけたことは、今後の戦いでもプラスに働きそうだ。
今季3度目の同一カード3連勝で初の2位に浮上した。この日試合なしで首位に立ったオリックス、ソフトバンク、3位に落ちた日本ハムの3チームがゲーム差なしで並んだ。大混パを演出した左腕の快投はあっぱれの一言だ。5月1日に最下位で最大借金7を抱えた昨季のリーグ王者が、約2カ月で完全に息を吹き返した。今日4日も勝ってオリックスが負ければ、今季初の首位に立つ。
昨オフ、倉野投手チーフコーチが最も伸びた選手に挙げたのが松本晴だった。鹿児島・樟南出身で、亜大時代は3年春に左肘のトミー・ジョン手術を経験。プロ3年目を迎えた苦労人が、開花の時を迎えようとしている。【只松憲】
◆松本晴(まつもと・はる)2001年(平13)2月24日生まれ、大阪府出身。樟南(鹿児島)-亜大を経て、22年ドラフト5位でソフトバンク入団。1年目は3試合登板も未勝利で、2年目の24年8月18日ロッテ戦でプロ初勝利。今季は5月中旬まで中継ぎとして開幕から12試合連続無失点に抑え、その後先発に転向。181センチ、87キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸は900万円。