
NHKは29日「サンデースポーツ」で西武の今井達也投手(27)の特集を組み、好調の要因に迫った。
今井は最速160キロ直球と、鋭く落ちるスライダーを武器にする球界屈指の剛腕。現在両リーグトップの110奪三振、リーグ2位の防御率1・32の好成績を残している。
同番組取材班が飛躍の理由を本人に直撃。投球で心がけていることを問われると「僕は他の先発と比べて球種が少ないので、1球種の中で緩急をつけないといけない」と話した。
ギアチェンジできる直球を使い分けている。走者なしの場合は150キロ台前半、得点圏に走者を背負うとギアを上げて150キロ台後半~160キロを計測する。
要所でギアを上げることで、得点圏の被打率は6分4厘と抑え込んでいる。今井は「6割のストレートもあれば、7割8割のストレートもある。10割全力で行くときもあるので、それが打者のタイミングを取りづらくしているのかな」と振り返った。
データでも如実に直球の進化が判明。昨年の直球被打率は2割3分2厘→1割8分1厘まで減少、奪三振は34%→43%に増加している。だが今井は「まっすぐが良くなっているというよりは、相手が勝手に考えて(振って)くれている」と話す。
昨季最多奪三振タイトルを獲得し、半分以上の三振をスライダーで奪っていた。今井は昨季の成績を踏まえて「どこのチームもスライダーを振って三振することは嫌だと思う。だからまっすぐが当たらない。スライダーを振らないようにしちゃうと、まっすぐが間に合わない」と分析した。
さらに直球を際立たせているのが「脱力投法」と呼ばれる独自のフォーム。力を抜いているように見える投球動作から、150キロ超え直球を投げ込み打者を翻弄(ほんろう)する。「変化球のタイミングで直球が来るので、なにを待っていいのか分からなくなるのかな」と振り返った。
昨季91敗に沈んだチームは、現在貯金5のリーグ4位で6年ぶりリーグ優勝を目指している。その思いについて問われると今井は「最近『今井さんからしてエースって何ですか』って質問をよくされるようになってきたんですけど、他の人が見て勝手に決めてくれっていう風に思っている。投球スタイルも確立できてきたので、試合の日はとにかく何があってもゼロで抑えてベンチに戻る。勝てるピッチャーになりたいなと思う」と真剣な表情で語った。
同番組に出演した元ソフトバンク監督の工藤公康氏(62)は「力みがなくなって余計な動きをしなくなったことが、安定したピッチングにつながっている」と分析した。