
<都市対抗2次予選東北大会:TDK10-1七十七銀行>◇29日◇第2代表決定戦◇宮城・仙台市民球場
エンジョイ野球で東京ドーム切符をつかんだ。TDK(にかほ市)が10-1で七十七銀行(仙台市)を破り、3年ぶり18度目の都市対抗野球出場を決めた。2回、夏井脩吉主将(29=神奈川大)のスクイズで先制。勢いが止まらない打線で16安打10得点を奪った。投げては、先発の鈴木大貴投手(27=流通経大)が8回5安打1失点で勝利に導いた。第2代表となったTDKは第1代表のJR東日本東北(仙台市)と都市対抗野球大会(8月28日開幕、東京ドーム)に出場する。
◇ ◇ ◇
地元秋田などから駆けつけた約400人の応援団から、TDKナインへ祝福の紙テープが飛んだ。3年ぶりの東京ドーム切符。選手たちはマウンドでひとつになって喜びを分かち合った。18年ぶりにチームに復帰した就任1年目の松田仁監督(50)の目には涙。「こんなにすぐに東京ドームに行けるのは幸せです。選手たち、ありがとう」と感謝の言葉を何度も口にした。
指揮官の言葉が重圧を和らげた。前日に第1代表をかけたJR東日本東北戦は0-4と完封負け。ラストチャンスの戦いを迎える前に「野球って楽しむもの。今のお前たちを見ていると苦しんでるように見える。もっと楽しんでいこう」と選手たちの背を押した。「その言葉に、みんな負けを引きずらずに開き直ってプレーできたのかなと思います」と夏井主将。こわばる雰囲気が一転した。
主将自ら1点をもぎ取るTDKの野球を体現した。2回1死二、三塁で先制スクイズを決め、打線に勢いを付け、この回5得点。2点適時三塁打を放った4番深江大晟内野手(28=東北福祉大)は、松田監督の「楽しむ」の言葉を「原点にして頂点でした」と受け止めた。
全員で意識を新たにした。松田監督は2月に就任した際、コーチで都市対抗優勝を果たした06年の試合の動画を流した。「このチームでできたんだから、お前たちにもできる」とハッパをかけた。夏井主将は「自信が付きました」。オープン戦では結果が出ない時期もあったが「監督が結果に左右されずに、やるべきことができていた時はナイスゲームと声をかけてくれたことで、主将としてけん引する上で学びがありました」と感謝する。準備、全力疾走、全力プレー。やるべきことに徹した結果が、3年ぶりの都市対抗出場だった。
本戦への準備も怠らない。夏井主将は「体作り含めて、今までやっていた1プレーを大事に徹底していきたい」と誓った。貪欲に、19年ぶりの日本一へと登りつめる。【高橋香奈】
○…やはり頼れる右腕だった。TDK・鈴木は代表のかかる一戦でも物おじしなかった。直球、スライダー、チェンジアップと臨機応変に決め球を使い分け「割り切って投球することができました」と勝利に導く118球に笑顔。経験豊富な6年目は「チームの目標は優勝なんですけど、個人的には過去何度も敗れてきたトヨタを倒したい」と、打倒トヨタ自動車への思いを口にした。