
<ヤクルト4-3阪神>◇27日◇神宮
まさか…。首位阪神が今季5度目のサヨナラ負けを喫し、リーグ戦再開の初戦を落とした。3-3で迎えた9回2死二塁の場面。三塁手の高寺望夢内野手(22)がヤクルト内山のゴロをはじいて二塁走者の生還を許した。先発村上頌樹投手(27)が7回に2本塁打を浴びて追いつかれる展開から勝ちゲームが暗転。最後に悲劇が待っていた。
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高寺のグラブにボールは収まらなかった。3-3の9回2死二塁。三塁へのゴロを後退しながら捕球しようとするもはじき左翼方向へ転がり二塁走者の本塁生還を許した。雨天での中断もはさみ試合開始から3時間45分後。相手の失策で先制した満員の神宮での一戦は失策でサヨナラ負けだ。
高寺は「申し訳ない気持ちしかないです。申し訳ないです。しっかり練習して次に生かすしかないと思います」。うつむきながら謝罪し反省した。
交流戦は8勝10敗と負け越し8位。仕切り直して臨んだリーグ戦再開初戦で3点リードからひっくり返された。それでも藤川監督は「それも使っているこちらの(責任の)ところですから。また明日、顔を上げて戦ってくれればというところですね」と高寺を鼓舞し「また、あした、しっかり日々新たにゲームをやっていく。そこに尽きると思います」と前を向いた。
勝ち頭の村上が4シーズンぶりの屈辱を味わい流れが変わった。3点差をつけていた7回1死から並木に左越えソロを浴び2点差。2死とするも3番内山に中前打、4番オスナに左越え2ランを許して同点とされた。「粘りながら投げていく中、長打で一気に追いつかれてしまった。みんなが作ってくれたリードを守ることができずに悔しい」。1試合でも1イニングでも2本塁打を浴びたのは21年8月28日広島戦以来。先発ローテーションに定着した23年以降は初となった。
6回までは4、5回に連続で満塁のピンチを招くなどするも無失点。「たまたま抑えられただけです。すんなりいくイニングを作れかったことが7回の巡りにつながってしまった」。それでもリーグトップタイ7勝の右腕は「いつも通り調整してやっていきたい」と次回に目を向け、指揮官も「こういう時もあるだろうし次の登板に向けてやってくれれば」。4チームが3・5ゲーム差だがリーグの貯金を独占。首位の猛虎軍団は前を向く。【塚本光】