
J1最下位の横浜F・マリノスは24日、大島秀夫ヘッドコーチ(45)の新監督就任を発表した。
パトリック・キスノーボ監督の解任を受け、21日のファジアーノ岡山戦で暫定指揮を執ったが、正式に昇格が決まった。横須賀市内クラブハウスで就任会見に臨み「自分のすべてを投げうってもクラブのために」と強いマリノス愛でJ1残留を誓った。25日に日産スタジアムで東京と対戦する。
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悲愴(ひそう)感はない。日焼けした大島新監督の表情は明るかった。「選手の力、キャラクターを生かして攻撃的に出ないといけない」「やるしかない。自分のすべてをなげうってもクラブのために」。出てくる覚悟の言葉とは裏腹に、これから向かう闘いへの高揚感が勝っていた。
クラブ史上初となる同一シーズン2度目の監督解任。チーム編成責任者の西野努スポーティングダイレクターは「本人と話した上で、(気持ちの)強さ、覚悟を確認して決めさせていただいた。このタイミングで受けるのは相当な覚悟がないと駄目だと思う。本人はマリノスを愛している」。
例えどんな実績ある名将が任されても難しい状況かもしれない。だからこそマリノス愛あふれる男に懸けた。現役時代も横浜に4年(05~08年)所属し、指導者として17年ユースに始まり、21年からはトップチームを任されてきた。ポステコグルー監督のもと22年のJ1優勝も経験している。
人情味があり選手から「秀夫さん」と慕われる。苦境を乗り切るために大事なことは「チームに気持ちを向けて一つになること」(西野SD)。残留の目安となる勝ち点40へ、残り18試合で26点と勝率5割が求められる。「全員で補い合って、手を取り合って、背中を押し合ってやっていく。全員で泥臭く勝ち点3をもぎ取りにいく」。必ず最後に愛は勝つ-。今季3人目、遅れてきた監督はそう信じている。【佐藤隆志】