
<日本生命セ・パ交流戦:中日2-3日本ハム>◇21日◇バンテリンドーム
日本ハム新庄剛志監督(53)が“公約”を達成した。「日本生命セ・パ交流戦」の中日戦(バンテリンドーム)に競り勝ち、交流戦で目標に掲げていた11勝目を挙げた。これで12球団最速で40勝にも到達。この日はパ・リーグ6球団の中で独り勝ちし、2位とのゲーム差も今季最大の3・5とした。交流戦ラストの22日中日戦に勝って、ソフトバンクが負ければ、逆転での交流戦制覇が決まる。
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新庄監督は興奮していた。「柳川くん、なかなかいい、面白いドラマをつくってくれる(笑い)。さすが俺の教え子」。クローザーとして投入した柳川がピンチをつくりながらも1点リードを守りきった。これで“公約”は達成した。交流戦11勝目。「あぁ…」と一瞬、記憶をたどった。交流戦が始まる前の1日ロッテ戦後。「11勝7敗でいってくれたらいいかな」と立てた目標を思い出した。
新庄監督 目標の数字は掲げないと、そこに向かう日々の努力が僕はないって思ってるんで、いつもちょっと上の数字を掲げて、気づいたらちょうどその数字っていうのが多い。わざと声に出すようにしてます。
その日々の努力は選手たちもそうだが、新庄監督も積み重ねている。就任4年目。目の前の試合や映像もくまなく見て選手たちの特徴を全て把握し、常にアップデートを続けているから“勘ピューター”もさえる。「変えておいて良かった」とは8回の守備変更だ。
三塁の清宮幸を一塁へ回し、7回から二塁で出場した奈良間を三塁へ。すると、中日の8回先頭の田中が放った三塁線を襲う打球を奈良間が好捕。ピンチを未然に防いだ。「あれ、でかいでしょ。(三塁が清宮)幸太郎だったら抜けてるよって(投手交代で向かった)マウンドで話をして」。
他のポジションで守備固めが始まっていた7回も、清宮幸に三塁を守らせたのも理由があった。「あれはホームランを打って乗ってるから。乗ってるときは足も動くんで、そのままにしとこうと。ただ、1イニングが終わったら、それが抜けるからファーストに変えようってことだけ」。9回無死二塁では、その一塁清宮幸が犠打を阻止する好プレー。「あれも、うまかったね。(采配が)当たるわぁ」と自画自賛だ。
偶然ではない強さで12球団最速の40勝到達。さらに交流戦優勝の可能性も残した。「僕としては交流戦の優勝はあんまり興味ない。ただ、賞金がもらえる。それを裏方さんの人たちに渡したい気持ちはめちゃくちゃある。取り行きますよ。マジで」。もうひとつの“公約”も実現させる。【木下大輔】
◆交流戦優勝の行方 優勝の可能性はソフトバンク、日本ハムの2球団に絞られた。首位ソフトバンクは○か△で優勝。●でも日本ハムが●なら決まる。日本ハムは○で、ソフトバンクが●の場合に逆転V。ソフトバンク●、日本ハム△の時は勝率で並び、得失点率差(TQB)で優勝を決める。「TQB」はトータル・クオリティー・バランスの略。1イニング平均得点から1イニング平均失点を引き、小数点第3位まで出す。計算式は(得点÷攻撃イニング)-(失点÷守備イニング)。21日試合終了時点の得失点率差は、ソフトバンクが+・238、日本ハム+・121。日本ハムより得点が多く失点も少ないソフトバンクが、この場合は有利になる。なお、優勝するとソフトバンクは6年ぶり9度目、日本ハムは18年ぶり2度目になる。