
<高校野球北北海道大会十勝地区予選:芽室14-4本別>◇21日◇1回戦◇帯広の森
十勝地区開幕戦で、芽室が北海道内一番乗りで夏1勝を手にした。序盤の3点差を逆転し、夏5年ぶり勝利を挙げた。試合開始時間が3地区で最も早く、2時間4分で制した。1回に3点を先行されたが、3回に6安打で一挙6得点。5回にも6点を重ね、10点差の大勝だった。13-4の6回2死一、三塁で、この日4安打目となる中前適時打でコールド勝ちを決めた1番・渡辺琉生外野手(3年)は「絶対打ちたいってバッティングにかけていたので、とてもうれしい」と喜んだ。
冬場の苦難を乗り越えた。今年2月、記録的大雪に見舞われ、野球部の室内練習場が倒壊した。10メートル×30メートルほどのビニールハウスは、90年代に父母会によって設置。頑丈な鉄骨が、積もった雪の重みに耐えられず、押しつぶされた。
練習場所を失ったナインは氷点下の寒空の下で、駐車場など屋外の限られた場所でバットを振った。体育館が使用できる朝の時間帯でテニスボールを打ったり、ランニングもした。「あの練習があったからこそ、今回の勝利がある。やってきて良かった。普段の冬よりもいい練習ができたと思う」と渡辺琉。工夫して取り組んだからこそ、成長できた実感がある。
渡辺琉にとっては、最後の夏にかける思いは強い。1年冬に右太ももの類骨骨腫が見つかり、手術を受けた。試合復帰は2年秋。昨夏は試合に出られなかった。「大好きだった先輩方の最後の大会、自分も出られず負けてしまって、罪悪感があった」。リハビリ中は野球をやめようと思ったこともあったが、「やっぱり活躍したかったので」。初戦、5打数4安打3打点で貢献した。
20年以来5年ぶりの夏初戦突破。その期間、部員不足で連合チームとして出場したこともあったが、今春久しぶりの2ケタ、11人の新入部員を迎えた。そのため奥恭平監督(35)は「流れが来ているタイミングで1勝できればという思いでやっていた」と、気合が入る。2回戦の相手は帯広南商。23、24年と2年連続で夏に同校に敗れている。渡辺琉は「自分が活躍して勝ちます」と誓った。【保坂果那】