
<日本生命セ・パ交流戦:阪神2-0ロッテ>19日◇甲子園
9個目の「0」を並べた阪神坂本誠志郎捕手(31)は、自分より一回り大きいデュプランティエにギュッと抱きしめられ、うれしそうに笑った。並び立ったお立ち台では「横にいる男は配球の天才です」と持ち上げられ、達成感に浸った。
捕手としての貢献度は言うまでもないが今、坂本はバットでも注目されている。0-0の4回、無死一塁。ヒットエンドランでロッテ先発の種市から中前にしぶとく落とし、連続試合出塁を「24」に伸ばした。このチャンス拡大がモノをいい、近本の先制犠飛につながった。7回には左翼の頭をあっという間に越えるフェンス直撃の二塁打で、再び甲子園を大歓声に包んだ。スタメンでは3試合連続のマルチ安打。交流戦は37打数15安打で打率を4割5厘に上げ、交流戦の首位打者まで視界に入っている。
今季の打率も規定打席未満ながら2割7分1厘と好調だ。最も「打」で活躍した23年も2割7分台は5月が最後。「もうちょっといいところで打てたらいいんですけど…。パ・リーグもいい投手ばかり。1球か2球しか打てる球がこない。そこをしっかり仕留めるのが大事だと思っています」。データも含めた準備にも力を入れている。
今季はバットを試行錯誤し、現在は履正社、明大で親しんできたメーカーを使用中。材質もイエローバーチから、より硬いメープルにした。海外のメジャーブランドも複数試し、他球団選手のバットを観察するなど、打撃にも強いこだわりを見せる。「うちの打線はいい打者ばかり。僕のところでみんな一息つくんですよ」。そう冗談めかしたこともあるが相手にすれば恐怖の7番は、たまったものではない。
20日からは交流戦で首位に立つソフトバンク3連戦。いずれも先発マスクの可能性が高い。「投手を楽にしてあげたいし、もっともっとと思いながらやりたい」。下位にひそむ貪欲な強打者が、ソフトバンクの脅威になる。【柏原誠】