
巨人が“全員野球”で連敗を4で止めた。「日本生命セ・パ交流戦」で、パ・リーグ首位の日本ハムに逆転勝ち。犠牲バント4つと犠飛で貪欲に得点機をものにした。6回に4番吉川尚輝内野手(30)が犠打でつなぎ、5番増田陸内野手(25)が同点犠飛。7回にも代打小林誠司捕手(36)の犠打が決勝点を演出した。阿部体制での基本指針に組み込まれている「自己犠牲」で勝率5割に戻し、交流戦最下位からも脱出した。
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自軍ベンチからシグナルを送った。巨人阿部監督は口を一文字に結んだ。周囲からは悟られまいと鉄仮面を貫いた。
1点を追う6回無死一、二塁、打席の4番吉川に犠打を指示した。2球目を投前に転がして1死二、三塁。5番増田陸の中犠飛で同点に追いついた。続く7回は先頭オコエが中前打で出塁すると、代打小林がコールされた。大歓声の中、3球目で犠打を決めて得点圏に走者を進めた。1死二塁から丸の中越えの適時二塁打で勝ち越しに成功。決勝点を奪った。
阿部監督は「なかなか、連打、連打っていうのは難しいからね。こういう作戦は増えていくと思うんじゃないかなと思います」と納得の表情で振り返った。シーズン折り返しを前に戦い方の“ギア”が一段階上がった。開幕から66試合消化時点での犠牲バント37は、昨季の同57を大きく下回る。1試合で犠牲バント4は今季最多だった。小林の犠打には「代打でバントだけど盛り上がってくれるんでありがたいですよね。ああいうのが、やっぱりチームの士気が上がりますよね」と称賛した。
丸、坂本の1、2番も働きぶりが光った。決勝打の丸はもちろん、坂本はチーム初安打に加え、同点につながる四球を選んだ。指揮官は「ベテラン2人に託してる。相手に対するプレッシャーだったりとか、そういうのも目的として置いている。すごくいい仕事をしてくれた」と絶賛した。
自己犠牲をいとわないチームプレーで1勝をもぎとった。勝率5割復帰、交流戦最下位脱出で上昇の機運に乗る。【為田聡史】