
<日本生命セ・パ交流戦:日本ハム8-7広島>◇15日◇エスコンフィールド
新庄日本ハムがミラクル大逆転劇だ!! 「日本生命セ・パ交流戦」の広島戦で、6回表までは0-7のワンサイドゲーム。6回裏に1点、8回に4点、9回は2死走者なしから2点を返して同点に追いつくと、延長10回に途中出場の田宮裕涼捕手(25)が人生初のサヨナラ弾を放って、ケリをつけた。日本ハムの7点差以上の逆転勝ちは08年4月8日楽天戦以来17年ぶり。4年ぶりの広島戦カード勝ち越しで、貯金を今季最多の11に伸ばした。
◇ ◇ ◇
新庄ハムが、瀕死(ひんし)の状態から奇跡的な追い上げで、勝利をつかんだ。決めたのは13日に1軍昇格したばかりの田宮だ。8回の守備から出場し、9回に2点差を追い付いた直後の延長10回、先頭で打席に入った。「ベンチの雰囲気は『まだいけるぞ』みたいな感じだった」。心地よい高揚感の中、カウント3-1から広島栗林の151キロのストレートをフルスイング。打球はぐんぐん伸び、右中間スタンドに吸い込まれた。新庄監督は「しびれたねぇ。6回の6点であちゃ~ってなったけどね。よく選手が追いついて、最後決めてくれましたね」と喜んだ。
指揮官の眼力が呼んだ白星でもあった。5点を追う8回1死一、三塁、野村の中犠飛で4点差。田宮の内野安打で2死一、二塁とチャンスを広げ、続く宮崎が左翼線へ2点適時打でプロ初打点を挙げ、3点差に詰め寄った。2死二、三塁から相手ミスで2点差にすると、9回2死の崖っぷちでは、ベテラン中島が2ストライクと追い込まれながら四球で出塁。劇的勝利への流れをつくった。
野村、田宮、宮崎、中島は、指揮官が今カード初戦の13日に1軍に上げた4人だった。野村は2軍で打率5割と結果を残していたが田宮に関して新庄監督は「タイミングをゆっくり取って、左肩が出て来ずに、インパクトをしてからの大きさが出てきた。ファームで結果出してなかろうが、上げるタイミングだなって」。中島、宮崎についても「ずっと見てますから。タイミングを計って図って。ファームの監督、コーチも多分(昇格させる青写真は)描いてなかったと思うんですけど、僕には、なんか今だなと」。新庄剛志の「第六感」が、ミラクルへの布石となった
機を見た入れ替えがバッチリはまり、監督就任後初の広島戦カード勝ち越し。「(選手)層は厚くしたいです。常にその気持ちはある。出る選手はチャンスだし、レギュラーを取れるかもしれない」。競争心をあおりながら力を蓄え、9年ぶりリーグ制覇を、たぐり寄せる。【永野高輔】
▽日本ハム中島(9回2死走者なしから9球粘って四球を選んで出塁)「集中していたのとアドレナリンも出ていた。なんとか食らいついていけて、ああいう形で塁に出れたのは良かった」
▽日本ハム宮崎(8回に適時二塁打を放ってプロ初打点)「代打も考えられる大事な場面で送り出してくれた。ボスも最後にチャンスをくれているんだと思って、思い切っていかないと後悔すると思った」
▽日本ハム水谷(6回先頭で反撃ののろしとなる中越え3号ソロ)「自分の(守備の)ミスの1点は取り返しましたが、初回からチームに迷惑をかけて、金村にも申し訳ない気持ちです」