
<インタビュー>
4年に1度の大規模大会に生まれ変わったクラブW杯(CWC)が14日(日本時間15日)に米国で開幕する。参加チームは従来の7から32と大幅に増え、1カ月間かけて全63試合が行われる。日本から唯一出場する浦和は1次リーグでリバープレート(アルゼンチン)、インテル・ミラノ(イタリア)、モンテレイ(メキシコ)と対戦する。GK西川周作(38)が日刊スポーツのインタビューに応じ、真のクラブ世界一決定戦に挑む強い意欲を語った。【取材・構成=佐藤隆志】
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鉄人西川が4度目(12年=広島、17、23、25年=浦和)のCWCに臨む。思い返せば、23年準決勝のマンチェスターC戦(0-3)の記憶が今も鮮明に残る。
「いろんなことにチャレンジしてやれた感覚と、チームとしては何もやれなかったという感覚がすごく悔しかった。(ブラジル代表GKの)エデルソン選手とユニホーム交換したいという感情もなくて、まだまだレベルアップしていかないといけないと感じられた」
1次リーグは4チームの総当たり。欧州チャンピオンズリーグ準優勝のインテル・ミラノ(イタリア)との対戦が注目される中、楽しみにしているのは初戦のリバープレートだという。
「どちらも応援が熱い。サポーター同士がぶつかり合って、僕たちもアルゼンチンの球際だったり、本物の厳しさを味わえる。そこは味わうだけでなく、目に見える結果として成し遂げた時にチームとしても1つ大きく成長できる。まずはどんな形でも結果にこだわる。押し込まれても、最後に守ればいいし、強い気持ちではね返していきたい」
初戦で勝ち点を奪えるかどうかが1次リーグ突破を左右する。また、リバープレート戦の翌6月19日に39歳の誕生日を迎えるとあって「いい結果を出していい誕生日にしたい」と誓う。
第2戦のインテル・ミラノには目標とするGKヤン・ゾマーがいる。スイス代表で長く活躍した36歳、無失点率は欧州CLで驚異の65%を誇る。西川もJ1断トツの202完封の大記録を持つ。年格好、身長183センチも同じなら、足もとの技術が高い点も似ている。
「止めるだけじゃなく足もとの技術も素晴らしいし、ゲームをコントロールする力も持つ。攻守にわたり流れを変えられる選手は世界を見ても多くはない。試合中に彼がやったプレーを肌で感じながら自分もその試合で生かしていきたい」
「空間を閉じる」イメージでゴールマウスに立つ。哲学者であり求道者。その理論は21年から昨年までGKコーチを務めたスペイン人の理論派ジョアン・ミレッ氏のもとで磨き上げ、多くの解決方法を覚えた。
「例えばクロスに対し『今のボールに出ろよ』と言われても、出方が分からないから出られない。その解決方法が分からなかったが、それをクリアにしてくれた。すごく飛び出すことに今は楽しさを覚えているし、身長はそんなに関係ないということも感じられた」
どの相手も攻撃力が持ち味ということもあるが、西川は常に最悪のケースを想定し試合に入っている。
「攻め込まれたりボールを持たれたり、苦しい時間帯はある。その中で耐えれば必ずチャンスはある。その中で自分のロングフィードも一発見せたい。『何だ、浦和レッズは』と思わせることが大事だし、彼らを本気にさせる意味でもファーストプレーは大事にしたい。勝ちにきたというところを体で見せていきたい」
目標とするのは決勝トーナメント(16強)進出。そのカギは西川が握っていると言っても過言ではない。
◆西川周作(にしかわ・しゅうさく)1986年(昭61)6月18日生まれ、大分県出身。大分-広島-浦和。08年北京五輪、14年W杯ブラジル大会に出場。国際Aマッチ31試合。J1通算644試合出場は遠藤保仁の672試合に次ぐ史上2位。183センチ、81キロ。
◆FIFAクラブW杯2025 米国11都市12会場において6月14日(日本時間15日)~7月13日(同14日)に開催される。32チーム参加、各8組の1次リーグで上位2チームが決勝トーナメントに進出。賞金総額は10億ドル(約1450億円)。1次リーグ3試合に全勝して優勝した場合は1億1762万5000ドル(約170億5563万円)になる。浦和は参加賞金(各大陸ごとに設定)で955万ドル(約13億8475万円)を獲得しており、1次リーグ1勝につき200万ドル(約2億9000万円)、引き分けで100万ドル(約1億4500万円)、16強進出なら750万ドル(約10億8750万円)のボーナスも得られる。