
<パドレス7-8ドジャース>◇9日(日本時間10日)◇ペトコパーク
3時間を超える一戦を見終わり、率直に思ったのは「両チームとも大変だ」だった。
開始直後に大谷に浴びせられたブーイングから、ファンも含めパドレスがドジャースに対し、目の色を変えているのが伝わってきた。場所こそ、ドジャースタジアムからペトコパークに替わったが、まるで昨季のポストシーズンが続いている様だった。これが、今季あと12試合もあるのかと思うと、選手は全く気が抜けない。試合は点を取って、取られて、が続き、最後まで分からない展開。同地区のライバル同士にふさわしい今季初対戦だった。
ド軍に軍配が上がったが、オーダーを見ても互角のメンツだ。勝負のカギは、やはり、まずは先発にかかっている。この日は、パ軍ピベッタ、ド軍メイともピリッとしなかった。6回以降は互いのブルペン陣が踏ん張ったが、絶対的な抑えのスアレスを擁するパ軍の方がブルペンの総合力では上だろう。リードしてスアレスにつなぐことで、勝つ確率が一気に高まる。
逆に言えば、ド軍はスアレスが出てくる前にリードを奪いたい。5回に金慧成の二塁打で追い付き、なお2死二塁で大谷。勝ち越しのチャンスだったが、松井の外に逃げるスイーパーにタイミングを外され、ゴロを打たされた。
パ軍に限らず、各チームとも大谷への攻めは徹底している。真っすぐはインハイ、変化球は低め、というもの。特に左投手は、変化球をアウトローに集めてくる。この日は松井を含め、左投手は3人が1打席ずつ大谷と対戦。変化球は全てアウトローを狙っていた。
もちろん、大谷も相手の攻めは分かっている。結果、左投手からゴロ3つを重ねたが、バットが少し体から離れて振ってしまっていた。ホームランを量産していた5月のように状態がいいときは、体に巻き付くように出てくる。開幕から2カ月あまり。投手の調整も本格化してきており、多少の疲れが出ているのかもしれない。
両チームはこの3連戦のあと、来週も4連戦が組まれている。選手は大変でも、見る側は非常に楽しみだ。(日刊スポーツ評論家)