
<日本生命セ・パ交流戦:巨人5-0楽天>◇8日◇東京ドーム
巨人戸郷翔征投手(25)が今季ベストピッチを披露した。先発で今季最長7回を投げて119球3安打無失点。長嶋さんの告別式が執り行われた日に好投し「身体(の調子)が悪い中、球場に足を何度も運んでいただいて、僕らにエールをたくさんくださった。そんな方が亡くなって、すごく悲しい。でも勝つことが一番の喜びだと思うので、それを見せられて良かった」と安堵(あんど)した。
不思議な経験をした。3日前に自宅で過去の投球映像を眺めていた。「寝る直前に去年投げていたフォークを思い出して」。まるで天から降ってきたかのように去年の感覚がよみがえり「それが(試合で)ハマってくれたので良かったです」と笑みを浮かべた。
ようやく本来の姿になってきた。今季は開幕から6試合勝ち星がなく、2軍落ちも経験。昨季まで3年連続で12勝を挙げた右腕が、いい時の感覚を取り戻せば無双状態に突入する。この日も150キロ超えの速球とフォークを中心とした変化球を低めに集め「今年の中で一番良かったんじゃないかな」と手応えを示した。
それでも、まだ2勝目。逆襲を誓うエースは「交流戦すごく大事ですし、まだまだジャイアンツの力はこんなもんじゃない」。戸郷自身もまだまだこんなもんじゃない。【水谷京裕】