
<日本生命セ・パ交流戦:ヤクルト3-2ソフトバンク>◇6日◇神宮
ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が「日本生命セ・パ交流戦」でヤクルトを相手に異次元の奪三振ショーを演じた。8回を3安打無失点に抑え、球団記録と助っ人投手でのプロ野球記録を更新する1試合18三振を奪う快投劇。ただ、チームは延長戦の末にまさかのサヨナラ負け。交流戦初黒星で連勝は3で止まり、貯金は1減って2に。左腕の117球も実らなかった。
◇ ◇ ◇
回を重ねても、モイネロの勢いは衰えを知らない。バットにすら当てさせず、面白いように空を切らせた。8回を投げ3安打無失点に封じ、毎回の18奪三振をマーク。球団記録と助っ人投手のプロ野球記録を更新した。一世一代とも言える快投劇。日本記録に残り1と迫っていたが、試合後は気にもしていなかった。
「(記録については)知らなかった。いつか誰かがレコードは破ると思うので。まずは自分が健康でいい投球をすることが大事」
打たれる気配がなかった。3回まで1四球のみで、全9アウトをすべて空振り三振。2回からは6者連続三振と圧倒する。この日の最速154キロ直球を軸に、ブレーキの利いた代名詞のカーブ、チェンジアップを織り交ぜた。4回まで打者10人から三振を奪い、5回を終えた時点で自己最多12を上回る計13奪三振を記録。「コーナーに攻めることができた」。内外角を丁寧に突き、積極的にスイングを仕掛ける相手打線を力でねじ伏せた。
見た目通りの陽気な性格で、豪快だ。投手練習ではスピーカーをかつぎながらグラウンド入りすることもしばしば。大音量の音楽を流し、リラックスムードで汗を流す。ルーティンのようなもので「音楽を聴くと集中もできる。いい緊張感を持ちながらマウンドに上がることができるので」。うっかりベルトを忘れたある日は、プライベートで使っている私物で「ルイ・ヴィトン」のベルトを腰に巻いてブルペン投球。周囲を驚かせた。この日は敵地神宮で圧巻の“モイネロ劇場”でファンを沸かせた。
ただ、チームは9回にオスナが同点2ランを浴びると、延長10回に松本裕が武岡にサヨナラ弾を浴びて交流戦では初黒星。連勝も3で止まった。小久保監督は「もちろん今日は逃げ切らないといけないけど」とし「(打線が)取れるところで(点)を取っておかないとこういうことになる」と振り返った。何とも、もどかしさの残る1敗となった。【佐藤究】