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【静岡人魂】Sランス関根大輝「一番の衝撃」糧に…67年ぶりV逃すも欧州3冠パリSG肌で体感


静岡学園出身のサッカー日本代表DF関根大輝は、フランス1部スタッド・ランスでの挑戦1年目を終えた。1月にJ1柏から移籍し、フランス杯の決勝でパリ・サンジェルマンと対戦。結果は0-3で敗れたが、強豪との対戦を通じて多くを学んだ。関根はリーグ戦で15試合に出場し、フランス杯でも4試合の経験を積み、身体能力の高い選手との対戦で自信を深めたが、パリ・サンジェルマンの圧倒的な実力に直面。「もっと上を目指したい」という意欲を強めた。さらに、日本代表として2026年W杯に向けた準備を進めている。

フランス杯の決勝後、取材に応じるSランスのDF関根大輝(2025年5月撮影)

静岡学園中高出身のサッカー日本代表DF関根大輝(22)が、海外挑戦1シーズン目を終えた。今年1月にJ1柏からフランス1部スタッド・ランスへ移籍。半年間で定位置を奪取してリーグ15試合に出場した。代表ではU-23(23歳以下)の昨夏パリ五輪で8強入りし、森保ジャパンにも定着。前回「静岡人魂」登場の1年2カ月前に掲げた「五輪→A代表の道」を体現した。クラブは2部降格の憂き目に遭ったが、日本の天皇杯に相当するフランス杯では48年ぶりに準優勝。後に欧州王者となるパリ・サンジェルマンに完敗したものの、最上級の経験を積んだ。【松本愛香通信員】

     ◇     ◇    ◇

欧州1年目からファイナルを経験した。5月24日(日本時間25日)のフランス杯、決勝。関根はSランスの右サイドバック(SB)として、パリ近郊の聖地サンドニに立った。98年W杯の開幕戦や決勝が行われたフランス競技場でパリSGに挑み、上下動。1週間後に欧州チャンピオンズリーグ(CL)初制覇を果たす王者に0-3で、クラブ67年ぶりの優勝は夢と消えたが、刺激的な90分だった。

MF伊東純也(32)中村敬斗(24)との日本人トリオ全員で先発。唯一、フル出場した関根は7万7071人の大観衆の前で、何度も頭ではね返し、愚直にクロスを送り、終盤はCKのキッカーまで務めた。同い年のFWバルコラ(22)に前半だけで2得点1アシストされて勝負は決められたが、高ぶるものがあった。

「入場では鳥肌が立ったし、雰囲気はめちゃくちゃ良かった。今までと全くレベルが違う相手と大舞台で真剣勝負できた。チームどうこうより、個人として力の差がありすぎたけど、ここ(決勝)に来なかったら『本当に何もできない』という試合を経験することができないままだったので」

今後の基準が上がる一戦を仏1季目から体感した。187センチの大型SB。シーズン中盤の冬加入ながら、リーグ戦は後半17試合のうち15試合に出場し、フランス杯も4試合に出た。準々決勝アンジェ戦では初アシストも記録。「フランスに来て(身体能力に優れる)アフリカ系の選手と対戦を重ねて、だんだん自分の中でもやれる感覚をつかめてきた」…はずが、パリSGには「全く通用しなかった」と認めるしかなかった。

「ここまで違い過ぎるのかと。うまいし、強いし、速いし。(前半17分の)1失点目も、バルコラに体を当ててスピードダウンさせたかったのに、速すぎて簡単にすり抜けられて。気を抜く抜かない以前の話で、全てが足りない。今までで一番の衝撃。自分に勝てる要素なんて何もないほど」

それでも、知将ルイスエンリケ監督が率い「欧州3冠」を達成したメガクラブと相対し、経験値は爆増した。バルセロナでもプレーしたフランス代表FWデンベレ、イタリア代表GKドンナルンマ、モロッコ代表DFハキミら世界クラスを肌で感じた。特大の糧だ。

「デンベレには、必ず自分が動いた逆にパスを通されたし、バルコラも、ヌーノ・メンデスもハキミも、次元が違った。すごく嫌だった。能力がある上に、頭もいい。タイミングもうまくて捕まえられない。デンベレも(欧州CL決勝で2得点1アシストの19歳)ドゥエも世界トップレベル」

そのタレント集団が、献身的に汗をかくスタンダードも知った。メッシ、ネイマール、エムバペが退団した後のクラブを、バルセロナ時代の10年前も欧州CL優勝に導いているルイスエンリケ監督が、調律した。

「トランジション(攻守の切り替え)も、めちゃくちゃ速かった。1失点目がまさにそうで(敵陣深くから)一発で決められたし、反対に僕らがカウンターしても、相手の戻るスピードが速すぎて。日頃から相当やっていないと、あれは絶対できない。能力ある選手が、あそこまでの意識。勝てるわけない…正直。だからこそ、運良く勝ってしまって変な自信をつけても良くなかった。負けるべくして負けた。学んだことは、すぐ。意識を変えるだけでもプレーは変わってくる」

クラブは、この決勝5日後に悲運の降格に泣いた。1部16位で2部3位メッスとの入れ替え戦に回り、まさかの2戦合計2-4で敗戦。自身の来季も不透明になったが、日本代表では1年後の目標が明確にある。

26年6月11日に開幕するW杯北中米大会。「静岡人魂」に前回登場した24年4月は、静岡学園高からでは16年リオデジャネイロ五輪代表のMF大島僚太(32=川崎F)21年東京五輪のMF旗手怜央(27=セルティック)に続く「五輪→A代表」を約束し、実現した。

今は、パリ経由の北中米をうかがう。W杯アジア最終予選オーストラリア戦(5日、パース)とインドネシア戦(10日、パナスタ)のメンバーに招集され「代表にまた選んでもらえたので、今は切り替えたい」。既に突破は決まり“消化試合”の残り2戦。そのオーストラリア戦で先発に抜てきされ、A代表デビューを果たした。本大会に生き残るため「ラストチャンス」の覚悟。その前にパリSGが教えてくれた現在地と水準を胸に、進化していく。

「悔しいより、ショックで。すごいことはテレビで見て分かってはいたけど、やっぱり実際にパリSGと対戦してみて、レベルが違い過ぎた。『ああなりたい』とは思うけど、今の段階では、それすら簡単には言えない。もっと上に行きたいと思ってフランスに来たけど、やっぱりトップレベルに行くためには、あれが必要。上を目指すとか簡単には言えなくなってしまったけど、次は大事な試合でこそ活躍したいし、そこで結果を出せれば、もっと上に行ける。やり続けたい」

◆関根大輝(せきね・ひろき)2002年(平14)8月11日、静岡市生まれ。幼稚園の年中から競技を始める。東源台FCから静岡学園中高。高校2年時の20年度に、全国選手権の優勝メンバーに。拓大商学部経営学科へ進学。1年から関東大学リーグに出て22年に全日本大学選抜入り。23年5月に柏へ加入内定、特別指定選手としてルヴァン杯でデビューした。同年9月の杭州アジア大会でU-22日本代表入り。在学中に1年前倒しで24年にプロA契約を締結。リーグ31試合に出場した後の25年1月にSランス移籍。187センチ、82キロ。利き足右。血液型A。

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