
<東京6大学野球:明大5-6早大>◇優勝決定戦◇4日◇神宮
連盟創設100周年にふさわしい大混戦の春を制したのは、早大だった。明大との2季連続優勝決定戦を6-5で競り勝ち、通算49度目の優勝。エース伊藤樹投手(4年=仙台育英)は3回に5点を与えて逆転を許すも、1点ビハインドの5回に寺尾拳聖外野手(3年=佐久長聖)が2点適時打で試合を決めた。前日3日に89歳でこの世を去った6大学ОBで立大出身の長嶋茂雄さんを弔う熱戦を制し、9日開幕の全日本大学選手権に出場する。
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神宮の青空に歓喜の「紺碧の空」がこだました。スタンドの応援団の熱唱に、グラウンドに集まった早大の選手たちは3連覇の味に酔いしれた。明大との2季連続優勝決定戦を制し、小宮山悟監督(59)は「『負けるもんか』という思いが安部球場に充満していました。今日こうして3連覇を成し遂げ、彼らを思い切り褒めたい」と興奮気味に話した。
リーグトップの6勝を挙げた早大・伊藤樹と最優秀防御率の明大・毛利による投手戦が注目されたが、戦前の予想とは打って変わった。初回に早大が4点を先制し勝負あったかに見えたが、エース伊藤樹が3回に逆転3ランを浴びるなど一挙5失点。それでも、小宮山監督は「最後はたつきと心中するつもり」と信頼は揺るがず、4回以降も送り出した。エースは立ち直り0を刻み「(5回に逆転してくれた)野手陣に本当に感謝です」とかみしめた。
雨で試合が流れた前日には、突然の訃報が飛び込んだ。立大OBの長嶋茂雄さんの死去を知り、小宮山監督は「長嶋茂雄の偉大さを調べろ」と選手たちに指示した。母校は違えど同じ6大学出身。「いま野球に関わっている身として、日本の野球の人気を本当に支えてくれたのが長嶋さんだ」と力説した。
閉会式で故人をしのんで黙とうがささげられた際、「無風状態だったのに、風が吹いた」と不思議そうに語った。「ひょっとしたら空の上から(長嶋さんが)見て、ちょっとだけ早稲田に力を貸してくれたのかな」。天国に旅立だった偉大なる6大学のOB。先人たちが築いた伝統に恥じぬ戦いを-。6大学の代表として臨む全日本大学選手権でも見せる。【平山連】