
<高校野球春季北信越大会:中越7-3敦賀気比>◇1日◇2日目◇ハードオフエコスタジアム新潟◇1回戦
中越が敦賀気比(福井)から貴重な白星を挙げた。前日5月31日は、7-3の9回表1死、中越の攻撃場面で継続試合が決定。エース雨木天空(あまき・そら)投手(3年)は、一夜明けて迎えた最終回に無死から連打を浴びながらも、無失点で切り抜けた。県勢の対敦賀気比の公式戦勝利は13年秋季北信越大会の日本文理(5-1)以来。連敗を14で止める快投だった。
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重圧があった。緊張もあった。しかし、マウンドの雨木の内面は、ピンチを跳ね返す余裕があった。9回裏は連打を許して無死一、二塁。崩れてもおかしくない場面で強心臓ぶりを見せた。「焦りはなかった。楽しめた」。続く打者を得意なスライダーで空振り三振。1死一、二塁からの最後の打者は、二ゴロの併殺に切って取った。今春からエースナンバーを背負う左腕は「すごく、うれしい」と言った。
県勢の対敦賀気比戦は14連敗中だった。13年秋の北信越大会1回戦で日本文理が5-1で勝って以来、勝利から遠ざかっていた。中越も22年秋の北信越準々決勝で、8-3の大量リードから逆転を許し、8-11で敗れる苦い経験をしている。本田仁哉監督(48)は「頭から離れない」と言う。
だからこそ、9回無死一、二塁のシーンでもエースに勝敗を託した。ピンチに伝令を走らせたが「大丈夫です」という言葉を伝え聞き、戦況を見守った。「上り調子。一番、信頼している」という評価を変えずに勝利を手繰り寄せた。
冬場に投球フォームを微調整している。速球にこだわることをやめ、大きなテークバックをコンパクトに修正した。「力任せだった」(雨木)フォームから無理のない形に変え、強力打線の敦賀気比に投げ勝った。
前日から2日間に渡る投球で9回5安打に抑えた。7-1の4回2死一塁には小林拓斗捕手(3年)に2点本塁打を許したが、この日は最後の打者として併殺打に仕留めた。「本塁打は失投。強いチームに勝つためには失投をなくさなければいけない」。雨木は、県勢の連敗を止めた勝利から教訓を得ていた。
○…新潟明訓は富山第一に1-4で敗れた。これが、夏に向けた最後の公式戦になった。高橋隆太主将(3年)が故障で不在など、ベストメンバーを組めなかったが、島田修監督(60)は「いい経験になった」と話した。前日5月31日は7回終了時に降雨で継続試合に。8回表、1-4から再開された。「守備の乱れ。我慢比べで終盤に崩れる」と2日間の課題を話した島田監督は「やる気のあるすばらしい選手たち」とともに夏へ、テーマ克服に努める。