
<西武3-2オリックス>◇1日◇ほっともっと神戸
西武は連敗を2で止め、交流戦前の50試合を27勝23敗の貯金「4」で終えた。
昨季は15勝30敗の借金「15」で、この時点で松井稼頭央前監督の休養が決まった。「再建には3年から5年かかる」との覚悟の声も球団上層にあった中で、その1年目に“勝つ”成功経験を積めていることは、再建への確かな前進だ。
今年の西武はなぜ、白星をつかめているのか。先発投手陣と守備力の良さは目立つところだ。
それ以外のポイントを探ると1つ、気になった点がある。5月8日、野村大樹内野手(24)が出場選手登録を抹消された。
理由は2軍再調整だった。打率1割7分1厘。しかしこの時点で二塁定位置を争う児玉は1割5分で元山は1割ちょうど。当時0割だった仲田はいまだに、5月を終えてもまだ今季初安打が生まれていない。
「なぜ大樹が2軍に?」。各所からそんな声が聞かれた。
なぜか-。絶対的レギュラーに至っていない野村大にまず求められるのが「打撃」だからだ。
児玉や仲田らは守備走塁優先でのベンチ入りで、そこに準じた仕事をこなしてきている。西口文也監督(52)は「バリエーションもちょっとはないとね、打てない時はほんとに打てないで終わっちゃうので」と話す。仲田はこの日、期待値通りの走塁で決勝のホームへ滑り込んだ。
その中で野村大はスタメン6番起用もありながら打率も打点も数字を残せなかった。主に代打で期待され打率1割を切った栗山も同様に再調整になった。
開幕3戦目にして不動のレギュラー源田に代打を出した。西口文也監督(52)は「練習以上のものは出せないから」と言い、選手の役割をしっかりカテゴライズしてシーズン序盤に臨んでいる印象がある。
オープン戦ではいきなり5番に平沼を起用した日がある。レギュラー格の渡部聖が休んだ日だった。
スタメンを変える時は前後を大きくいじらない。開幕スタメンで「7番元山、9番源田」を示唆していたものの、最終的には「7番源田」にした。
西口監督は起用について多くは語らないが、元山ら二塁手は開幕当初は日替わり起用を想定していたため、と想像できる。
5月28日の楽天戦(ベルーナドーム)も捕手の牧野を初めて3番DHで起用し「当てはめただけ」と言った。今季の西武はDHは中軸を打つことが多く、その言葉自体もすんなり当てはまる。
投手起用についても、序盤で大量ビハインドになった試合は、いわゆる“勝ちパターン”の投手は一切投げさせない。
必勝リレーへの21歳山田の抜てきも含め、選手個々への期待値も設定した“キッパリ”采配が、シーズン前半の戦いの礎にある。【西武担当=金子真仁】