
<広島0-8阪神>◇1日◇マツダスタジアム
2冠奪回でリーグ戦を締めた! 阪神4番の佐藤輝明内野手(26)がダメ押し3ランで再び本塁打、打点で両リーグトップに躍り出た。2点リードの8回に広島戦3連勝を決定づける13号。37打点に増やし、同僚森下とDeNA牧に1差をつけて逆転した。首位がっちりのチームは、38年ぶりの日本一に輝いた23年以来の12球団最速30勝の吉兆。貯金を今季最多の10に増やし、3日開幕の交流戦では、いきなり新庄日本ハムとのセパ首位対決に臨む。
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佐藤輝はバットを持ったまま、ジッと打球を見つめた。右手1本で運んだとは思えない弾道は、打った本人も不思議な感覚だったのか。すぐ一塁へ走り出すことなく、右翼席への着弾まで見届けた。高くバットを投げ上げる。沸き上がった大歓声を浴び、ようやく走り出した。「うまく反応できた感じですかね。うまく打てたと思います」。
2-0で迎えた8回2死一、二塁。快速左腕塹江との対戦だった。7球続けて150キロ台の直球を投じられたが、ファウルで粘ってフルカウント。8球目、137キロのスライダーでタイミングを外されたが、粘った下半身と右手1本で仕留めた。両リーグトップを独走する7試合ぶりの13号3ラン。勝利を決定づけた技あり弾に藤川監督も「ファンの方も楽しいでしょうし。いいホームランじゃないですかね」と目を細めた。
これで37打点。「まだまだ全然関係ない」と話しながらも、再び両リーグトップに躍り出た。試合前時点では後輩森下と並び、1位のDeNA牧を2差で追っていた。だが初回に森下が先制2ランを放ち、2人に2差をつけられた。だが3打点を量産する1発で一気に追い抜き、2位で並ぶ牧、森下に1差をつけた。森下とのアベック弾は今季2度目で2連勝。交流戦前最後のリーグ戦で、本塁打&打点の2冠を取り返した。
確実性が増し、打率も2割9分の高水準。開幕前の目標「2割8分以上」を上回る。「調子いい時は月間3割とか打てるわけで。続かないと意味がない。もっと上にはいけないので」。月間打率3割2分3厘をマークした5月。継続に重きを置く主砲は、6月初戦の1発にも浮かれることはなかった。「まだまだね。打てるところもあったので。また練習したいですね」。
チームは岡田監督で日本一に輝いた23年以来の両リーグ最速30勝。貯金を今季最多の10に増やし、3日開幕の交流戦に向かう。いきなり相まみえるのは、同じく3連勝でパ首位を走る新庄監督率いる日本ハムだ。
佐藤輝はパとのカード別打率ワーストの1割6分2厘で、敵地エスコンフィールドは8打数無安打。だが今年のテルはひと味もふた味も違う。「交流戦も目の前の試合を頑張ろうと思います」。北の大地で進化を証明し、新庄監督を驚かせる。【波部俊之介】