
<日本ハム4-3ロッテ>◇31日◇エスコンフィールド
日本ハム新庄剛志監督(53)が十八番の“勘ピューター”を発動し、10年ぶり4度目となる単独首位での交流戦突入を決めた。9回に代走準備だけさせていた矢沢の代打起用が的中。2点差を追いつき、最後は郡司が今季3度目のサヨナラ打を放った。3日から戦う古巣阪神も、交流戦前のセ・リーグ首位を確定。セ・パ単独首位対決での交流戦開幕を実現し「お~“日本シリーズ”だ」と楽しみにした。
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新庄監督は不思議そうに振り返った。「なんで矢沢くん、いったんだろう俺…(頭の中に)矢沢くんってボーンって出てきた。俺もちょっとわからん(笑い)。説明できん」。2点を追う9回2死二、三塁。代打起用した矢沢がカウント2-2から中前へ落ちる起死回生の同点適時打。相手投手との相性やデータなどは一切、関係ない。唯一、言えるのは「勘ですね」。さらりと言った。
説明しようのない突然の“勘ピューター”発動だった。指揮官の頭に「矢沢くん」が降りてきたのは1死二、三塁で代打起用した「吉田くんが追い込まれてから」。初球から2球連続で吉田が空振りした瞬間だった。その時、矢沢は代走準備をしていた。「全くバットを裏で振ってなかったからね。『バット持て』って」。急きょ指示するドタバタ劇も結果は大当たりだ。
十八番の采配が決まれば、もう勢いは止まらない。代走準備をしていた矢沢が難なく二盗を決め、打席には今季すでに2度のサヨナラ打を放っている郡司。「郡司くんはもう得意技(笑い)」と、右越えにまたまたまたのサヨナラ打。最高の巡り合わせも引き寄せて、チームは15年以来、10年ぶり4度目となる単独首位での交流戦突入を決めた。
その開幕カードの相手は、新庄監督がプロ人生のスタートを切った阪神だ。「相手も首位ですもんね。おー“日本シリーズ”だ。もうテレビ局は大喜び。久々にタイガースの応援も聞けるしね、楽しみです」と、本拠地で迎え撃つ。愛着のある古巣との再会を、自らの“勘ピューター”采配で、いきなり両リーグの首位同士がぶつかる大注目カードに昇華した。
昨年は甲子園では岡田前監督とのメンバー表交換時に、縦じまのユニホームに身を包むサプライズでファンを喜ばせた。今年は「もう選手メインで」。自慢の選手たちを信じ、自由自在のタクトで輝かせる。【木下大輔】