
<高校野球春季近畿大会:智弁和歌山8-1滋賀学園>◇31日◇準決勝◇さとやくスタジアム
滋賀学園・長崎蓮汰投手(3年)が落とし穴にはまった。0-1と粘っていたが5回に一挙4失点。この回限りで降板した。
センバツ準V校からの重圧を感じていた。5回は2死を奪ったあと8番の投手に二塁打を許した。「1番に回したくない」。その気持ちが焦りを生んだ。9番打者にも安打でつながれ、最も警戒していたトップバッター藤田一波外野手(3番)に回してしまった。
「ピンチでも落ち着いて投げられるのが長所」と自己分析する右腕だが、下位の打者を出塁させたことで「追い詰められてしまった」と感じた。恐れていた通り、藤田から3者連続で適時打を許した。
ボールを持つ長さを変えて相手の集中力をそいだりと、マウンドさばきにセンスがにじむ。智弁和歌山はそれを分かって、絶妙なタイミングで足元をならすなどして対策してきた。「今日は今までより調子が良かったと思う。ボール(の質)でカバーできたところもあったけど、打たれた場面は投げ切れなかったです。相手に二回り、三回りも上をいかれていました」と悔しがった。
最速142キロ。総合力は高いが、最後にもろさも露呈した。高校からのプロ入りを希望する大器は「直球も変化球も、精度が全然よくない。夏まで1カ月しかないけど、全部を見直さないといけない。自分がチームを勝たせるイメージで取り組みたい」と集大成の夏をにらんだ。【柏原誠】