
阪神門別啓人投手(20)が甲子園でのプロ初先発で、本拠地初勝利を決めた。
粘りに粘った89球だった。初回こそ3者凡退で切り抜けたが、2回以降は毎回得点圏に走者を背負う投球。それでも5回2死満塁で蝦名を左飛に打ち取るなど、要所は締めた。「失投がないようにというか。気持ちの面で負けないようにというのはすごく考えながら。強気で投げていました」。
7日巨人戦以来、3週間ぶりの1軍戦。8安打を浴びながらも、5回無失点でホームを踏ませなかった。4月6日巨人戦(東京ドーム)でプロ初勝利を挙げて以来となるプロ2勝目だ。
今年3月、母校・東海大札幌が10年ぶりに春のセンバツ出場を果たした。大会中は門別も観戦に訪れ、後輩たちの姿をアルプスから見届けた。「すごく楽しそうにやっていた。いいな、と思いました」。
高校時代も必死に目指した甲子園。だが3年夏の南北海道大会は準決勝で敗戦し、自身の代で届かなかった舞台だった。昨季4月19日中日戦で中継ぎとして立って以来、甲子園での1軍登板は2度目。憧れの聖地でつかんだうれしい白星だ。
故郷北海道での里帰り先発もゲットした。次週から交流戦が開幕。中6日で回れば6月4日の日本ハム戦(エスコンフィールド)が待っており、1軍初の“凱旋(がいせん)切符”をかけた一戦でもあった。藤川監督は「地元で登板したい思いが非常に強かったようで。それがピンチで頑張らせたんじゃないかなと」と評価。「また持っている力を次の札幌で出してくれれば」と期待を語った。
日々進化を続ける20歳。次は地元で成長した姿を届ける。【波部俊之介】