
<仙台6大学野球:東北福祉大5-3仙台大>◇25日◇最終節第2日◇東北福祉大野球場
3季ぶりに王座を奪還した。東北福祉大がライバル仙台大を5-3で破り、77度目のリーグ制覇を決めた。3-3の9回1死二、三塁から、新保茉良(まお)内野手(4年=瀬戸内)の中前適時打で勝ちこしに成功。仙台大の弟玖和(くお)内野手(2年=霞ケ浦)との「兄弟対決」を制した。同大は来月9日に開幕する第74回全日本大学選手権(神宮ほか)に出場する。
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どんな時でも優勝の光景が見えていた。3回を終了し0-3。それでも、東北福祉大の新保は「俺らが一番強いという自信があったので、劣勢でも負けている気がしませんでした」。中盤に追いつき、9回に訪れた絶好機。1死二、三塁で、大学日本代表候補の仙台大・佐藤幻瑛投手(3年=柏木農)の低めのツーシームを中前に運んだ。「『すごいピッチャー』と思うと負けてしまうので、『打てる』と思って打席に入りました」。気持ちが生んだ決勝打だった。
仙台大にいる2学年下の弟玖和との兄弟対決を制した。「ショートでプロ野球選手になってほしい」という父の願いで、野球を始めた頃からともに遊撃手一筋。同リーグで切磋琢磨(せっさたくま)してきた。グラウンドでは火花を散らすライバルだが、試合が終われば仲良し兄弟。この日も玖和から「ナイスバッティング」と、健闘をたたえ合った。
この春に懸ける思いは人一倍だった。昨年の全日本大学選手権には仙台大が出場し、玖和がルーキーながら遊撃手として一足早く全国デビュー。あの場所には自分が立つはずだった。茉良は「兄弟なので応援はしていましたけど、内心、悔しさはありました」と吐露。その悔しさを糧に、この春は自らのバットでチームを優勝へ導いた。
1年春から主力の弟とは違い、大学ラストイヤーでようやくスタメンをつかんだ。リーグ開幕戦では「『新保』といえば『茉良』と言われるような活躍をしたい」と意気込んでいたが、しっかりと体現した。「責任感も生まれましたし、みんなに恩返しをしたかったので、最後に優勝に貢献出来て良かったです」と笑みがこぼれた。次の目標は日本一。「全国でも活躍して新保の名を売ります」。名をとどろかせ、頂点からの景色を見るつもりだ。【木村有優】