
巨人は12日、秋広優人内野手(22)大江竜聖投手(26)と、ソフトバンク・リチャード内野手(25)との間で2対1の交換トレードが成立したことを発表した。大江の背番号は「29」、秋広はリチャードが背負っていた「52」に決まった。貯金3でリーグ2位につける巨人と、借金2の4位に甘んじるソフトバンク。近未来、チームの中軸を打つと期待されていた金の卵を交換する、非常に珍しい形となった。担当記者が、合意に至った両軍の思惑を解説する。
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巨人が189センチ、118キロのリチャードに白羽の矢を立てた。恵まれた体から繰り出す長打力が魅力の“ロマン砲”。トレードの引き金になったのは主砲岡本の離脱とみられる。6日阪神戦で不動の4番が左肘を負傷。「靱帯(じんたい)損傷」と診断され長期離脱となった。
主砲の離脱後、チームは2勝2敗。11日ヤクルト戦に負け、今季初となる2カード連続で負け越した。予期せぬアクシデントに見舞われ「長距離砲、右打者、内野手」の補強が急務となった中で、離脱から1週間を待たずにトレード成立にこぎつけた。リチャードは今季ここまで6試合に出場し、22打数2安打、打率9分1厘、0本塁打。新天地できっかけをつかみ、飛躍となれば大きな戦力になり得る潜在能力がある。
注視すべきは阿部体制下での積極的な“トレード戦略”にある。昨季は就任直後の11月に2件、開幕直前に1件、6月に1件のトレードを成立させた。今季は今回が初のトレード成立で計5件となった。“飼い殺し”ではなく“選手ファースト”の意向が反映されているようにも見える。リーグ連覇と日本一へ、グラウンド内外で積極的な姿勢を貫く。【為田聡史】