
<春季高校野球北海道大会:知内2-0函館大柏稜>◇11日◇函館地区代表決定戦◇函館市千代台公園
函館地区の代表決定戦が行われ、知内が4季連続全道出場を目指した函館大柏稜を2-0で下し、春季全道大会一番乗りを決めた。エースの田沢慶明投手(3年)が9回91球の3安打完封勝利で、3年ぶり8度目の春季全道出場をたぐり寄せた。
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抜群のキレと緩急で、元同僚が並ぶ相手打線に付け入る隙を与えなかった。エース右腕の田沢は「柏稜のスタメン5人が中学時代(北斗ベースボールクラブ)のチームメートだったので燃えていました」。9回3安打5奪三振で三塁も踏ませない快投。91球で27個のアウトを奪い、100球未満で完封するマダックスを達成した。
組み立ての主体は直球だが、カウント球に配したカーブが効果的だった。5回に初安打を許して1死一、二塁のピンチを招くも後続を打ち取り、6回1死一塁も併殺で切り抜けた。「3球で1ボール2ストライクに追い込むピッチングを心がけましたが、ボール先行の場面があったので反省です。60点ですね」。自己評価は厳しいが、昨年7月の監督就任後、初の全道出場となった高草木穣監督(57)は「田沢に尽きます。緩急で相手に的を絞らせなかった」と手放しで褒めた。
終速を落とさない直球を求め、昨秋以降は指先を鍛えてきた。健大高崎(群馬)のプロ注目右腕・石垣元気投手(3年)が取り組んでいるという、3キロの丸い重りを指先でつかむ練習を繰り返してきた。この日は自己最速の138キロをマーク。また変化球はカーブ、スライダーに加え、スプリットとツーシームを習得した。その新球はこの日は温存。球質向上による完封劇に「やってきたことは間違いではなかった」と手応えを得た。
チームも4試合無失策と守り勝つスタイルが浸透しつつある。3年ぶり8度目の春全道。頼もしく成長したエースを中心に粘り強く戦っていく。