
<DeNA4-3広島>◇9日◇横浜
おじいちゃん、おばあちゃん、やったよ! DeNA林琢真内野手(24)がチームを今季初のサヨナラ勝ちに導いた。8回に代走で出場すると、延長10回の守備では三塁側カメラマン席に突っ込みながら邪飛を好捕。その裏1死二塁で、左中間へのサヨナラ適時打を放った。試合後のお立ち台では愛する祖父母を思い浮かべて感極まった。
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3万1806人が注目するお立ち台で、グラウンドに懸ける熱い思いを明かした。サヨナラ打で試合を決めたDeNA林は声を震わせた。「今日(母方の)じいちゃんとばあちゃんが見に来ていたので、ばあちゃん足が悪いので、見に来るの最後になるかもと言われていたので…」。もう涙が止まらない。年明けに亡くなったという父方の祖父も思い浮かべて思わず声を詰まらせた。「打てて良かったです」。あふれ出る涙を必死に拭いた。
途中出場ながら、攻守でサヨナラ勝ちへ導いた。10回裏の攻撃。先頭松尾が中前二塁打で出塁。次打者が犠打失敗に倒れ、場内からはため息が漏れたが、林には意気消沈ムードも関係なかった。広島の左腕森浦の2球目カットボールを振り抜き、鋭い打球は左中間を破った。相手外野陣は打球を追うことを諦め、試合を決めた林はベンチを飛び出したナインの手荒い祝福を受けて大歓声に包まれた。
守備でも勝ちを呼び込んだ。8回に代走で途中出場。10回には3番手入江がいきなり先頭に二塁打を許したが、中軸の3番ファビアン、4番末包を打ち取ってなおも2死二塁。5番坂倉を打ち取った打球は三塁側観客席の方向へ。林は懸命に追いかけ、三塁側カメラマン席へ頭から突っ込んだ。グラブに捕球したボールを審判へアピール。アウトの判定で一気に場内が沸き、守備でも盛り立てた。三浦監督も「ファウルになってたらどうなっていたかわからなかったところ。非常に大きかった」と勝利への分岐点となったビッグプレーに賛辞を贈った。
プロ3年目の24歳は、今季出場した25試合中、19試合が途中出場。「僕は守備と盗塁が売りの選手。毎日今日が最後の試合という気持ちでグラウンドに立っている」と毎試合に命をかけている。今季初のサヨナラ勝ち。三浦監督も「大きな一戦になった」と目を潤ませた。【佐瀬百合子】