
<日本ハム2-1楽天>◇9日◇エスコンフィールド
日本ハム金村尚真投手(24)が、9回7安打1失点の完投勝利で3勝目を挙げた。
高めの直球と低め変化球のコンビネーションで9三振を奪った。過去2勝はどちらも完封勝利。シーズン1~3勝を完投(完封含む)で挙げるのは、球団では07年ダルビッシュ以来(完投→完投→完封)。チームは貯金を今季最多タイの4とし、首位オリックスにゲーム差なしに迫った。
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9回2死二、三塁。27個目のアウトを間一髪の三ゴロで奪った金村は「キヨさん(三塁の清宮幸)が遅かったのでハラハラしながら見てました」と笑った。過去2勝の完封勝利と合わせ、今季3勝はすべて完投。球団では07年ダルビッシュ以来の記録だが「僕は早めに替わる試合もある。長いイニングを投げる試合をもっと増やしていきたい」と上を向いた。
完投が増えた要因に「メンタル」を挙げる。2点リードの8回は無死二、三塁から1点を失い、さらに2死三塁と同点のピンチに、宗山を全球高め直球で空振り三振に仕留めた。戻ったベンチ。「去年だったら、あとは(田中)正義さん頼みます…みたいな感じ」だったが、いまは違う。「9回いくぞって言われたときに、よしっと燃えてる自分がいた」。7日オリックス戦はプロ野球タイ記録となる10投手の継投で12回ドロー。チームのためにも、価値ある完投勝利になった。
4月27日ロッテ戦で2敗目を喫してから登板が開いた。「ローテを回っているときじゃあまりできないことを試した」。データを見直し、スプリットは指先に力を込める握りに改良。セットポジション時の足の角度も変え、プレートの踏む位置も中央寄りにした。「この10日を有意義に過ごしたと結果で示さないといけない」。変化を恐れずに大胆に取り組み、この日のマウンドで体現した。
変化は登場曲にも。「エイサーっていう沖縄の民謡の歌。小学校、中学校のときも踊っていたなじみのある曲」。ようやく陽春の風が届いた北海道に、あたたかい音色が響いた。【本間翼】