
日本ハム石井裕也打撃投手(43)が9日、自身が題材となった絵本を贈呈された。エスコンフィールドの会見場で絵本の文章を担当した小川洋輝さんから4月30日に発売された「『きこえなくたって』ーみみのきこえないプロやきゅうせんしゅのおはなし」を受け取り、「ありがとうございます」と頭を下げた。
石井打撃投手は先天性の感音性難聴を抱えながら04年ドラフト6巡目で中日に入団。08年途中で横浜(現DeNA)に加入し、10年開幕直後に日本ハムへ移籍した。主に中継ぎとして通算329試合に登板し、19勝19敗6セーブ、防御率3・06。補聴器をつけた右耳でわずかな音を拾いながらマウンドに立ち、キレのある直球とスライダーで通算258三振を奪った投球スタイルは「サイレントK」という愛称でファンからも親しまれた。
絵本の文章を担当した小川さんは「僕としては本当に石井裕也さんに憧れて野球を始める方、夢を諦めない聴覚障害の方が1人でも増えたらいいなと。それと同時に、夢を諦めないっていう方々の応援の絵本になっていただけたらなと思っております。僕が込めたメッセージで一番伝えたいことは『耳が聞こえないことが弱いことと思っていたのに、耳が聞こえないことが強いことになることもあるって気がついた』という部分です」。絵本の売り上げは野球振興と聴覚障害者の野球の普及へ向けて全て寄付する。
石井打撃投手は「僕も本を通して勇気をもらいました。僕は夢を諦めずにプロに行きたいという気持ちが強くあって、最後まで諦めずによかったなって思いました。耳が聞こえない人たちも野球選手になれたらいいなと思います」と話した。