
<ダイヤモンドバックス1-7メッツ>◇7日(日本時間8日)◇チェースフィールド
【フェニックス(米アリゾナ州)7日(日本時間8日)=四竈衛】メッツ千賀滉大投手(32)がダイヤモンドバックス戦に先発し、6回89球、2安打無失点の好投で4勝目(2敗)を挙げた。チーム内にまん延した体調不良を克服し、防御率1・16はドジャース山本由伸投手(26)に次ぐリーグ2位。メジャー3年目の怪腕が本領を発揮し始めた。
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投げるたびにマウンド上で首をかしげるほど、序盤の千賀は本調子とかけ離れていた。3回まですべて先頭打者を歩かせるなど、メジャー最多タイの5四球。左打者への外角球が抜け気味で、常にボールが先行した。3回まで51球中、半数以上の26球がボール。その一方で「うまくいってない時はパターンがある」と、過去の経験則で修正法は脳が記憶していた。守備陣の好中継プレーや併殺でピンチを脱出。コーチ、捕手の助言にも耳を傾け、本来のリズムを取り戻した。4回、5回は3者凡退。1点を先行した直後の6回まできれいにゼロを並べた。
万全な状態には程遠かった。4月末、メ軍内にウイルス性の風邪が大流行。千賀も38度台の高熱で体調を崩し、体重が3キロ以上減少した。それでも、体調不良者が続出したチーム事情もあり、前回登板の1日は点滴を打ってマウンドへ向かった。今回の登板間は、遠征先セントルイスでの試合が降雨中止。ダブルヘッダーに変更されるなど、通常の調整を進められる状況ではなかった。「スピードを出す時に力んだりとか、バランスが崩れて力が入らないような感覚がある。1回崩れてしまうとなかなかすぐには難しいんですけど…」と、不安を消せないままの登板だった。
そんな悪条件の中でも、先発としての役割を全うし、地区首位堅持に大きく貢献した。「単純に試合を壊さずに終われたというところはホッとしています。何とか春先は耐えながら、という感じですね」。自らの投球を「かわしている」と表現するなど我慢続きの状態ながら、防御率1・16はドジャース山本の0・90に次ぐリーグ2位。今後、本調子を取り戻した時、千賀と山本が、よりハイレベルなタイトル争いを繰り広げる可能性はかなり高い。