
<DeNA1-0巨人>◇3日◇横浜
DeNAトレバー・バウアー投手(34)が貫禄のNPB初完封勝利だ。前回5回5失点と打ち込まれた巨人打線相手に、多彩な変化球を駆使して三塁を踏ませず。122球で、6安打完封した。復帰後初白星を挙げた前回登板から2試合続けてバッテリーを組んだ松尾汐恩捕手(20)も、二盗を3度阻止。8回には決勝犠飛と攻守で援護した。14歳差のバッテリーが抜群のコンビネーションで首位巨人を下した。
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年齢も国籍も関係ない。14歳差のバウアーと松尾が互いを助け合った。1回先頭、巨人泉口に初球を右前打とされる。前回登板も1回に失点しており、課題の立ち上がりに不穏な空気が漂う中、救世主となったのが松尾だった。続くキャベッジへの5球目、ワンバウンドしたナックルカーブを逆シングルで拾い上げ、そのまま二盗阻止。バウアーも「クレイジーなプレーだった。まさかアウトになるとは全く想像してなかった。本当に助かりました」と感謝した。
復帰後初白星を挙げた4月27日広島戦(横浜)から2人の抜群のコンビネーションが光る。登板前のミーティングから投手コーチやアナリストを交えた準備を徹底。豊富な知識に裏打ちされた自前のデータを持ってくるバウアーに、松尾もA4用紙に巨人の打者の特徴を書いた手書きの資料を持参して食らいつく。「(英語は)全然できてない。今日も途中で何か言おうと思ったんですけど、分からなくて…」と苦笑いしながらも、分かる範囲の単語で積極的に話しかけている。
物おじせずに意見を主張する20歳に、元サイ・ヤング右腕も「一緒にいて楽しい選手ですし、本当に才能あふれる選手」と高評価。松尾は「すごいピッチャーですし、勉強させてもらいながらやってます。自分の感性、思ったことをしっかり受け入れてくれるので、今は良いコンビでできています」とうなずいた。
“バウマツバッテリー”でつかんだ完封勝利。三浦監督は「バウアーが引っ張りながら、汐恩もミーティングで自分の意見をしっかり話しながら、コミュニケーション取りながら、組むことによって勉強しながら成長してくれてます」と目を細めた。チームは直近7戦6勝。ゴールデンウイークに横浜旋風を巻き起こす。【小早川宗一郎】
▼バウアーが来日初完封。DeNAの投手が巨人戦でスコア1-0完封をマークしたのは09年10月2日のランドルフ以来、球団16年ぶり。DeNAの外国人投手では02年8月8日のバワーズ、前記ランドルフに次いで3人目だ。
▼バウアーは大リーグで19年に1度、20年に2度完封を記録。日米を通じての完封はサイ・ヤング賞、最優秀防御率に輝いたレッズ時代の20年に8月19日ロイヤルズ戦でマークして以来5年ぶり。ただし、20年は2度ともコロナ禍の特別ルールにより7イニング制で記録。9回を投げての完封はインディアンス時代の19年6月16日タイガース戦以来。大リーグでの1-0完封はなかった。
▼決勝点は松尾の犠飛。DeNAの1-0勝利で投手が完封、捕手が勝利打点は、93年8月21日巨人戦で野村が完封、谷繁が斎藤雅からソロ本塁打を放って以来32年ぶり。
▽巨人萩尾(DeNAバウアーについて)「しっかり強い真っすぐで来るイメージがあったんですけど、今日、曲がり球やチェンジアップ、カットボールを多く使ったり。本当に1回、2回のチャンスしかないだろうなとは、試合やりながらも思ってました」