
<阪神4-0ヤクルト>◇2日◇甲子園
打のヒーローは「さとうて」だ。阪神佐藤輝明内野手(26)が、連敗脱出を導く決勝打を放った。0-0で迎えた6回1死一、二塁。2打席抑え込まれていた先発吉村の139キロフォークを捉えた。地をはう二遊間への鋭いゴロに二塁手山田は追うのを諦めた。単打でも規格外な、先制の中前適時打となった。
「ある程度狙いは絞っていきました。つないでもらったチャンスをモノにできてよかった。いい反応ができたと思います」
試合のなかった巨人岡本に2差をつけた4試合連続打点。26打点、10本塁打はいずれも両リーグトップを走る。直後には5番大山にも中前適時打が飛び出し、7回には森下も適時打で打点をマークした。「森大佐」の主軸3人が打点を挙げた試合は、23年9月から3年越しの17連勝。不敗神話継続の口火を絶好調の背番号8が切った。
「ゴールデンウイークこどもまつり」として開催されたこの日。スコアボードの選手名は今年も平仮名と片仮名で表示されるなど楽しい演出が施された。佐藤蓮がいるため、今年も「さとうて」と表記された佐藤輝は、試合前のベンチ前で少年とキャッチボール。初回の守りについた際には、出迎えてくれた子どもとの会話も交わした。「こどものころのじまんばなし」には「タイガースJrに選ばれたこと」を挙げた。
「(子どもは)好きですよ」と話す背番号8。サインを書く姿など、これまでにも子どもたちとふれ合うの場面はたびたび見られた。兵庫・西宮市出身で、自身もかつては阪神ファン。「格好いいなと思って見ていた」と振り返る先輩たちの背中を、今は自ら体現する立場になった。「すごくうれしいこと。まだまだ、もっとそう思ってもらえるように頑張りたい」。虎の4番として、これからもヒーローであり続ける。
5月に入っても、快音は止まりそうにない。「(子どもたちに)しっかりいいところを見せられたんでね。また明日から頑張ります」。ゴールデンウイーク最高の思い出を、バットでプレゼントした。【波部俊之介】