
<阪神1-2巨人>◇27日◇甲子園
マウンド上の背番号23が妙にしっくりきていた。阪神ドラフト1位の伊原陵人投手(24)が球団新人61年ぶりの快記録を達成した。
「素晴らしい背番号をつけてユニホームを着て投げさせてもらえるのは、当たり前のことじゃない。球団の歴史を築いた方の背番号を背負えたことは大きい」
プロ野球選手としては小柄な男の背中に「23」の数字が映えた。吉田義男さんの追悼試合。前回登板した20日広島戦(甲子園)でプロ初先発初勝利を挙げた新人左腕も、永久欠番を背負った。2回まで無失点。3回1死三塁から内野ゴロの間に失点したが、開幕からの連続無失点を15回1/3まで伸ばした。阪神新人が開幕から15回以上連続無失点を続けたのは、64年に16回連続無失点を記録した古沢以来の快挙となった。
4回以降は追加点を許さず、入団後最長の6回を投げきり1失点。「最少失点で抑えることも大事なので、そこは良かった」と話しつつ「ゼロに抑えるに越したことはないし、反省するところがたくさんある。勝たないと意味がない」。次回以降のさらなる躍動へ、粘投にも満足はしなかった。
この日は岡田彰布オーナー付顧問がテレビ中継の特別ゲストを務めた。左腕の姿に「身長を見たら23のユニホームが一番似合っているかも。吉田さんのね」とニヤリ。投球は「ベースの上でボールが来ているというか、落ちないですよね。伸びてくるというか」と評価していた。
吉田さんは身長167センチの体格でレジェンドとなり、くしくもルーキー古沢が16回連続無失点を記録した64年の優勝にも貢献している。「チームが勝つために自分のできることを一生懸命することが、今一番自分に必要なこと」。身長170センチの伊原はそう言葉に力を込めた。
チームにとっても大きな存在となりつつある左腕。藤川監督は「素晴らしかったですね。また、次の登板、まだまだ伸びしろを感じますね」と絶賛した。チームも伊原も、まだ栄光への旅路を進み始めたばかりだ。【塚本光】