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瀬戸内の離島が「世界の漫画学校」に 「Dr.コトー」作者も協力


瀬戸内海の高井神島で、かつての小中学校が「高井神島漫画学校」として生まれ変わりました。人口が減少した島に活気を取り戻そうと、長谷部理さんが立ち上げ、廃校を利用したこのプロジェクトにより、島は「世界のマンガ島」を目指しています。壁画プロジェクトで名を馳せるこの島には、漫画家との協力で描かれた30以上の壁画が魅力を増しています。漫画学校の開校に際しては、町内の小中学生への漫画教室が開催され、今後は一般向けの講座も予定されています。地域活性化の一環として、島に新たな文化的灯台が設置されることを期待されています。

 「この島を世界のマンガ島にします」。

 瀬戸内海の燧灘(ひうちなだ)に浮かぶ周囲5・3キロの島「高井神(たかいかみ)島」(愛媛県上島(かみじま)町)に27日、「高井神島漫画学校」が生まれた。

 島は人口11人。ほれ込んだ一人の男性が9年前から私財を投じ、空き家の壁など30軒以上を有名漫画の壁画で塗り替えた。

 今度は漫画家らの後押しを受け、廃校だった小中学校を漫画学校に。この日、町内の小中学生を招いた漫画教室が記念に開かれ、校舎を17年ぶりに歓声が包んだ。

 漫画学校の生みの親は16年ほど前から月の3分の1は高井神島に滞在している長谷部理(おさむ)さん(76)=山梨県甲斐市。

 島の前自治会長、木村定(さだむ)さん(74)と長く親交があり、「何とかして島を盛り上げたい」と2016年、3階建ての島の公民館の壁いっぱいに「Dr.コトー診療所」の絵を、業者が足場を組んで完成させた。関東で医療・福祉事業などに携わる長谷部さんは作者の山田貴敏さんと知り合いで、「同じ離島。ぴったりだ」と快諾を得た。

 その後もいがらしゆみこさん、藤沢とおるさん、森下裕美さんら30人以上から次々に原画データの提供を受け、建物の雰囲気に合った壁画作品に。休日に島を散策する内外の漫画ファンも珍しくなくなった。

 一方で唯一の島の学校、上島町立高井神小中学校はピーク時の1964年ごろには約80人が学んだが、過疎と少子化で2008年から休校に。長谷部さんは木村さんらと「施設を地域活性化に役立てよう」と住民の総意をとりつけた。町は23年に廃校となった学校を地域活性化のための一般社団法人「なたおれの木」(木村理事長)に貸し出し、同法人が改修した。

 計画を見守ってきた上島町の高橋典子・前教育長は開校式で「存続が危ぶまれる状況だった島。立ち上がったのが長谷部さん、木村さんだった」と熱意あふれる行動をたたえ、「学校は島の文化の灯台。古里を明るく照らし続けることを願います」とあいさつした。

 この日は上島町内の小中学生22人に漫画「つるピカハゲ丸」の作者のむらしんぼさん、「あばれ花組」の押山雄一さん、「恋は花色ミモザ色」の塚本知子さんが漫画の基本を教えた。「プロの漫画家を生む。その漫画家の壁画をこの島に掲げる」というのが長谷部さんの夢。小中学生の漫画学校は毎年開くことにしている。

     ◇

 高井神島漫画学校の一般向け講座は山田さん、押山さんらを講師に順次開かれる。初回は5月24日開講。毎月第4土、日曜を基本とする6回コースで受講料は3泊の宿泊費、食費込みで8万円(税込み)。なたおれの木のインスタグラム(@manga.nataorenoki)で案内している。【松倉展人】

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