
ドジャース大谷翔平投手に、第1子となる長女が誕生しました。米国メディアでも古参3大ネットワークのABCやNBCといったテレビ局が速報するなど、多くの注目を集めました。以前、このコラムで紹介したように、昔から米球界では結婚すると成績も上がるのが、常識になっています。子供が生まれると責任感も強くなり、ますます成績が上がると言い伝えられています。ドジャースが誇る「MVPカルテット」の先輩3人もご多分に漏れません。どんな「パパライフ」を送ってきたのか、ご紹介しましょう。
まずは将来の殿堂入りが確実な、エース左腕クレイトン・カーショー。2010年に当時22歳で高校時代から付き合っていたエレンさんと結婚。すると一躍エースとなり、11、13、14年と3度サイ・ヤング賞を獲得。14年は投手3冠でMVPとダブル受賞しました。その後、4人の子供に恵まれると、球界のエースとして大活躍。ドジャース一筋17年間で現役3位の通算212勝を挙げ、メジャー史上20人目、左腕では4人目となる通算3000奪三振も、あと32個に迫っています。
その一方で、12年にロベルト・クレメンテ賞に輝くなど慈善活動も熱心に行い、23年には4人の子供を連れて本拠地球場で行われたチャリティー卓球大会に参加。今年3月には日本開幕戦で登録メンバーから外れたため、チームと別便で家族と訪日し、京都へ家族旅行を楽しむ様子が見られました。
次に大谷とともに最強打線を形成するフレディ・フリーマン。14年に元モデルのチェルシーさんと結婚し、16年に長男のチャーリー君を授かりました。20年にブランドン君を代理出産し、21年にはマキシムス君が誕生。20年ナ・リーグMVPに輝き、21年にはブレーブスで世界一となりました。昨年7月には三男のマキシムス君が重度のギラン・バレー症候群で緊急入院。何よりも彼は家族を大事にし、チェルシー夫人いわく「彼にとって野球選手以上に父親であることが重要」であり、それまで全試合出場していましたが離脱。苦難を乗り越え、ワールドシリーズMVPに輝きました。
今年4月にはフリーマンの首振り人形が観客に配布される「ボブルヘッドデー」で、長男のチャーリー君が始球式に登場しました。父が捕手役を務める中でボールを投げ込み、スタンドから大きな拍手を浴びました。そこには家族の仲むつまじい姿がありました。
大谷の後ろ、2番を打つムーキー・ベッツ。18年にミドルスクール時代から付き合っていたブリアナさんが、長女キンリーさんを出産。21年にブリアナさんと結婚し、23年には長男のカイ君が誕生。昨年自身3度目の世界一に輝きました。
彼にとって最大の喜びは2人の子供のためにプレーすることであり、昨年9月の選手とともに子供たちが守備位置につく試合で、愛娘のキンリーさんも父に駆け寄って、がっちり抱擁。すると、ベッツは最高のエールを受けたかのように、9回裏に劇的なサヨナラ本塁打を放ちました。昨年のワールドシリーズ第2戦では、ベッツがカイ君を抱っこしながら現地中継局のインタビューに登場。今年4月18日にはブリアナ夫人が、インスタグラムでカイ君の2歳の誕生日を祝福。ベッツにとっても、子供たちの存在が最大のモチベーションとなっています。
4月19日に待望のパパとなった大谷も、ますます活躍すること間違いなし。特に大リーガーとしてMVPであり、また立派な父親でもあるカーショー、フリーマン、ベッツらの行動を見ながら、今年は「パパになってもMVP、そして世界一」を期待したいと思います。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)