
ヴィッセル神戸は25日、神戸市内のいぶきの森球技場で公開練習を行った。
3連休を挟んで前日に再始動したチームの中で、MF鍬先祐弥(26)も軽快な動きでフルメニューをこなした。
鍬先は今季ここまでリーグで1試合をのぞく10試合に出場。そのうち9試合で先発起用され、既に昨季の倍以上となる783分までプレー時間を伸ばしている。吉田孝行監督(48)は「しっかり戻るところ、ボールにアプローチ行くところ、球際の部分とか、やらなきゃいけないことを確実にやってくれる選手」と信頼。着実な進化でチームの復調に貢献してするまでになった。
神戸に加入した昨季は、J2のVファーレン長崎でコーチだった吉田監督のよく知る選手として期待されながらも、チームにフィットするまでに時間を要した。「(神戸に)来た当初は練習についていくのがやっと、という感じがあった」。そう振り返る初年度に与えられたのは、主に“クローザー”としての役割。リーグでの出場は12試合で354分間のみ、先発はターンオーバーで臨んだ試合も含めて3試合にとどまった。
それでも1シーズンを戦う中で「今は周りも見ながら調整もできるようになってきた」と余裕を持てるまでに成長。日頃から強度の高い神戸のトレーニングをこなすうちに、攻守両面で求められる基準を満たすようになった。
また、本職のボランチだけでなく、サイドバックとしての能力も開花した。昨季途中に吉田監督からコンバードを打診された際には素直に受け入れられなかったが、経験を重ねるにつれて、求められる基準を超えるパフォーマンスを発揮するまでに。そんな姿を指揮官は絶賛。「いろんなポジションを高いレベルでやってくれるから、すごくいい。(昨夏のトッテナムとの親善試合で)ソン・フンミンとマッチアップして、ある程度抑えて、それがすごく自信になったと思う。先発でもベンチからでも、本当に欠かせない存在になった」。本来期待した成長曲線を上回るほどの変化に驚きを示しながら、その成長を歓迎する。
次戦は5月3日のファジアーノ岡山戦(ノエスタ)。その試合での注目は、東福岡高で1学年下だった岡山DF阿部海大(25)との再会だ。直接マッチアップする場面が多いポジションではないとみられるが、鍬先は「何でもできるイメージ。身体能力が高いし、賢いし、すごくいい選手。楽しみです」と対戦を心待ちにする。プロ選手としての期間は高卒で岡山加入の後輩に先を行かれているが、負けるつもりはない。今では大卒でのプロ入りを「自分の選んだ道は間違ってなかった」と言えるまでになった先輩が、ピッチでその力を証明する。【永田淳】