
<MLB担当記者・斎藤庸裕の目>
【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)24日(日本時間25日)=斎藤庸裕】笑える環境が追い風になる-。ドジャース大谷翔平投手(30)は25日(同26日)から本拠地6連戦でパイレーツ、マーリンズとの対戦に臨む。
4月の月間成績はここまで打率2割5分4厘、4本塁打、6打点。本調子とはいかないが、試合前のルーティンや安打パフォーマンスでイジり合い、笑える環境がチーム内にある。コラム「Nobu’s Eye」で迫った。まだシーズン序盤。日常の笑顔が、連覇を目指す大谷とチームを支える。
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とても楽しそうな、あれは一体なに!? 大谷と、フィジカル強化担当のトラビス・スミスコーチと言えば、その時々で変化していく試合前のルーティンパフォーマンスがおなじみだ。最新バージョンでは、2人で左足を持ち上げてケンケンする、なんとも不思議なポーズで笑い合っている。同コーチは、本拠地での開幕シリーズ直前の3月末に起きた“アクシデント”を、おもむろに明かした。
「ウエートトレーニング場で器具を動かしている時に、左足をけがしてしまって。手術したんだ」
痛みを伴い、流血するほどの大けがだったという。4月上旬、ワシントンDCの遠征中にチームを離れ、手術を受けた。最近の大谷との試合前の儀式はスミスコーチの“故障離脱”をやゆしたもので、不運な出来事だったが、それも笑いに変えられる。そんな空気感が、ドジャースのチーム内にはある。
コスメブランド「デコルテ」のCMに出演する大谷の決めポーズがパフォーマンスとして定着したのも、同僚同士でイジり合って楽しんでいる典型例だ。移籍1年目の昨年、通訳の一件などが重なり、開幕直後は悩むこともあった。ちょうど1年前の4月下旬、大谷は「冗談を言い合える雰囲気っていうのは、すごく僕にとっては楽かなと思います」と心境を明かしている。笑える環境にも後押しされたことで、歴史的なシーズンとなった。
敵地での直近3試合で12打数1安打。チームも2連敗中だが、休養日を1日挟み、本拠地での戦いに変わる。また、第1子の長女誕生で大谷自身の生活環境も変わる。スミスコーチは「『新生活を楽しんで』って伝えたよ。(夜泣きで)睡眠ができないかもしれないけど、これは特権なんだ。彼はそれを得たんだ」とうれしそうに話した。笑い合い、時にイジられる。そんな日常も、復調のきっかけにつながるかもしれない。