
<オープン戦:ロッテ4-5日本ハム>◇11日◇ZOZOマリン
宮城・石巻出身の日本ハム松浦慶斗投手(21)が「3・11」にオープン戦で“プロ初セーブ”を挙げた。1点リードの9回に登板。先頭打者に四球を与えたが、後続は3者連続三振で試合を締めくくった。東日本大震災が発生した14年前は小学1年だった大型左腕。あれから14年が経過した忘れられない日に、プロ4年目で初の開幕1軍入りへまた1歩前進した。
◇ ◇ ◇
今年も、この日がやってきた。「明日、3月11日やな」。松浦は前夜、14年前のことを思った。11年3月11日、午後2時46分。小1の松浦は下校中だった。
松浦 揺れて、もう歩けなくなって。その場でランドセルを頭にかぶって。小学校は、もう燃えていて。たまたま家は高いとこにあったので、そんな(被害はなかった)。それで、なんか避難所みたいなとこに避難した。津波から逃げて行ったって感じです。そこに母親が探しに来てくれて…ところどころはやっぱ、記憶に残っています。
当時は野球も始めていた。小3の時に父の転勤で旭川へ引っ越したあともプレーを続け、小6でファイターズジュニアにも選出。高校は大阪桐蔭へ進学し、22年ドラフト7位で日本ハムへ入団。4年目の今季は、初の開幕1軍入りを目指して奮闘中だ。
この日も1軍生き残りを懸けた大事な登板だった。1点リードの9回。先頭打者に4球連続ボールで四球を与えたが、後続は見逃し三振2つに空振り三振。いずれも力強い直球がウイニングショット。2軍戦も通じて初セーブを挙げた。
松浦 初球から強い球を投げられたのは収穫。でもストレートの四球を出した。詰めが甘いとこや準備段階が良くなかったのかなと思う。もっとしっかり1球目から試合に入っていける準備をしていきたい。
それでも、走者を背負っても落ちない球威は成長の証。初の開幕1軍入りをアピールした「3・11」に「あそこから14年がたって、すごく結果的にいい日になって、ここまで大きくなったんだなって感じます」。開幕へ向けてもっと存在感を大きくし、忘れられない最高のシーズンにする。
【木下大輔】