
<オープン戦:西武-阪神>◇11日◇ベルーナドーム
「3・11」に、秋田出身のルーキーが好投を届けた。
0-0のまま迎えた5回、阪神育成ドラフト1位で、7日に支配下登録されたばかりの工藤泰成投手(23=四国IL徳島)がマウンドへ上がった。先頭の源田にいきなり156キロ直球を投げ込み見逃しを奪うと、4球目の153キロ直球で二ゴロ。続く長谷川はフォークで遊ゴロに仕留めると、最後は西川を154キロ直球で遊ゴロ。3者凡退と完璧な投球を見せた。
秋田出身の工藤はまだ9歳だった小学3年時に被災。「ガスとろうそくで何とか…。食料はどこも、スーパーでも買えませんでした。みんなで鍋とかを食べていました」。寒い秋田で不自由な生活を余儀なくされたが、家族で身を寄せ合い乗り切った。
この日に向けて「津波にあった地域だけじゃなくて、東北全体で頑張ろうという形で震災の時もやってきた。やっぱり東北人として頑張っている姿を見せて、まだ復興されていない地域もあるので、そういう方々に元気を送りたい」と決意を新たにしていた。これでデビューから6試合連続無失点。故郷の完全復興を願う右腕の無双はまだまだ続きそうだ。