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村上、頼んだぞ! 阪神藤川球児監督(44)が今季の開幕投手を村上頌樹投手(26)に決めたことを公表した。沖縄・宜野座での春季キャンプ最終第6クール初日の26日、村上同席で公開発表。3月28日の広島戦(マツダスタジアム)を託された右腕は、5年目で初の大役に必勝を誓った。新井監督が25日に公表した広島の開幕投手、森下暢仁投手(27)との投げ合いを制し、23年MVP右腕が藤川阪神の初勝利を導く。
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穏やかな空気が流れていた昼下がりの宜野座球場。藤川監督が、報道陣を“緊急招集”した。「重大発表します!」。そう言った後、呼び入れたのはプロ5年目の右腕だった。「うちの開幕投手、村上投手にやってもらいます!」。笑顔の2人が並んで、サプライズの公開発表となった。
「お願いします」。少し緊張気味に答えた村上にとって、5年目で初の大役だ。指揮官は「よくここまで、俺たち黙ってたよね」とにやり。実は昨秋キャンプ中に託すことを決め、11月21日のタイガース杯ゴルフ参加時に通達していた。
決め手について「彼の憧れの投手が僕だったというところがまず1つ。これは冗談ですけど」と和ませた後、言葉に力を込めた。「勝負を決するところで、相手のエースを打ち破ってくれるのは村上かなと。才木もいますけど、この2枚看板でうちは勝負できるという強みがあった」。23年にセMVPに輝くなど実績は十分。一方で昨季は7勝11敗と苦戦した経験もあえて買った。「非常に拮抗(きっこう)したゲームで耐え抜いて1シーズンを投げ抜いた。相手もエースがぶつかってきて(僕が)その経験から逃してはいけないし、逆にそれが強み。もちろん一昨年の素晴らしい活躍もあるけど順当かなと」。決断に迷いはなかった。
託された思いに、背番号41も全力で応えるつもりだ。「先発が全員目指している場所。大事な試合を任されているので、絶対勝ちたい」。投げ合う明大出身の広島森下は1学年年上。東洋大3年時に全日本大学選手権の準々決勝で顔を合わせ、完封を許した。「プロの世界で1個上の先輩ですけど、勝ちたいなと思ってます」。今回がプロ初対決となる大舞台でリベンジを果たし、藤川監督に開幕戦勝利を届ける意気込みだ。
広島戦は通算12試合で4勝7敗、防御率2・81。さらにマツダスタジアムは昨年9月27日、リリーフでサヨナラ打を浴びてリーグ連覇が遠のいて涙した場所で、防御率はセ本拠地別で4・45と最も悪い。指揮官の期待に応えて鬼門を乗り越え、絶対的なエースへ。26歳の一投から、藤川阪神の戦いが始まる。【磯綾乃】