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<練習試合:巨人4-3DeNA>◇18日◇沖縄セルラースタジアム那覇
巨人秋広優人内野手(22)がド派手な2発を放ち、覚醒の予感を漂わせた。
DeNAとの練習試合に「8番一塁」でスタメン出場。2点を追いかける7回1死一塁から、対外試合での今季チーム1号をマークし、同点の9回に2打席連続アーチとなるサヨナラ本塁打を放った。22年に背番号「55」を引き継ぎ、飛躍が期待されるプロ5年目の大型野手が、持ち味の長打で開幕1軍生き残りをアピールした。
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秋広は2打席連発となる劇的な1発を放っても、表情を緩めず、ダイヤモンドを回った。シーズン中ならグラウンドでお祭り騒ぎだったはずだが、この日は特別ルールの練習試合で、サヨナラ弾でもチームメートはベンチ前で待機。笑顔で迎えた仲間の祝福に少しだけほおを緩めたが、ハイタッチを重ねた後、サッとベンチに引き揚げた。
「ずっと練習でやってきたことが徐々に試合で出始めているので、今日、結果に出たので継続してやりたいです」
対外試合のチーム1号アーチでは、成長を示した。2点ビハインドの7回1死一塁、フルカウントからDeNA松本凌のカットボールを強振。内角に甘く入った失投をミスショットせず、同点2ランを右翼席に運んだ。「追い込まれたら、当てにいっちゃう癖があるんですけど、しっかり振ることができたので本塁打につながった」と確かな変化が見られた。
取材中、近くを通った阿部監督から「調子に乗って、コメントするなよ」とジョークを飛ばされたが、全く浮かれた様子はなかった。自身初の開幕1軍入りへ、アピールが求められる立場。「手を出せなかった反省点がある」と同点の9回の2球目にサヨナラ弾を放った喜びよりも、チームが取り組む初球のファーストストライクを見逃したことを悔いた。
松井秀喜氏が背負った背番号「55」を引き継ぎ、ファン、球団から大きな期待を寄せられる中、アピールに成功したが、激しい争いが待ち受ける。阿部監督からは「今、状態がいいだろうから。1日寝たら忘れちゃうんでね。今日は寝ないでずっと素振りしていてほしいな」と愛あるゲキを送られた。「開幕はいつも2軍だったので、しっかりアピールして頑張りたいです」。表情は引き締まったままだった。【久保賢吾】