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<阪神紅白戦:白組3ー5紅組>◇9日◇沖縄・宜野座
近大対決に完勝! 阪神佐藤輝明内野手(25)が9日、豪快な25年チーム第1号で進化を印象づけた。沖縄・宜野座で行われた紅白戦に「3番三塁」で出場。初回から近大先輩でもある畠の内角150キロ直球を振り抜き、推定飛距離120メートルの痛烈な先制2ランを放った。やや体を残しながら捉えたアーチには今オフからの取り組みが凝縮されていた。藤川監督も絶賛する3番候補に、いよいよ覚醒の気配が漂う。
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佐藤輝は数秒間、じっと打球を見届けた。初回1死一塁、1ボール2ストライク。近大先輩の畠が投じた内角150キロ直球を自然と引っ張り込んだ。右翼防球ネットを超える推定飛距離120メートルの確信弾。すぐには走り出さず、体重を左足に残す。打球の着地を確認してから、ゆっくりとダイヤモンドを回り始めた。
「変わらず、練習でやっていることを出すことを意識しました。結果は別として、いいスイングができた。それは良かったです」
25年のチーム実戦第1号。4学年上の先輩からオール直球勝負を仕掛けられ、4球ファウルで粘った末の1発だ。「いい球だった。はじき返すのは難しかったけど、最後は打てる球がきたので良かったです」。近大対決には「やってやった感はあります」と笑顔。試合後には畠から「参りました」と声をかけられ、「ちょい詰まりです」とユーモアを交えて返したという。
厳しい内角球を引きつけ、体を残しながらの1発。豪快な1発は地道な努力のたまものと表現できる。オフはクリケットバットを使ったティー打撃などで「バットの面で捉える意識」を養ってきた。点ではなく面で捉えることで、少々タイミングがズレても押し込みを可能にするものだ。
加えて、中堅から左中間方向への打球方向も意識的に取り組んでいる1つ。内角球に対して強引にならずに体を残したフォロースルーは、常日頃からの意識が体に染みついてきた証しなのかもしれない。「しっかり練習でやっていることはできていると思う。順調とは思います」。“ちょい詰まり”ながら運んだアーチには、あらゆる取り組みが凝縮されている。
前日8日の紅白戦は好守にも阻まれ無安打。この日は25年実戦初安打となった。藤川監督は「取り組み通りでしょうね。行きたい方向と考え方、メンタル等々がかみ合いつつあるというか。練習も率先して主体的に動いていますから、そういった部分で心強い存在。すごく今日までは順調だと思います」と絶賛。3番として構想を掲げられる今季、進化のスピードを加速させる。【波部俊之介】