鬼門の開幕3連戦を乗り越えて「真の4番」を勝ち取る。開幕4番に内定している日本ハム野村佑希内野手(24)が1日、沖縄・名護でキャンプインした。キャンプ前夜祭で新庄監督が4番定着への猶予は15試合と宣言したが、本人は苦手イメージがある開幕カードを重要視。自身もチームもスタートダッシュを決めて、指揮官から与えられた野球人生最大のチャンスをものにする覚悟を示した。
◇ ◇ ◇
冷静に、でも貪欲に、野村は小雨交じりで強風だったキャンプ初日を過ごした。フリー打撃では約60スイングで柵越えなし。「逆風で飛ばしにいくと(打撃が)おかしくなる」。あえてアーチは狙わず、バットの芯で捉えることに集中。「ちょっとこすった打球が多いのが課題。ライナーの打球を意識して」と狙い通りの打球を多く重ねて「順調に来ていると思います」。納得の打撃練習だった。
全体練習後は谷内内野守備走塁コーチと特守。本職の三塁だけでなく、一塁守備も特訓した。今後は左翼守備にも力を入れて守れるポジションを広げつつも、「僕みたいなタイプは打たなければポジションはない」と開幕4番の自覚を持ってキャンプインした。
昨年11月のファンフェスで開幕4番とサプライズ発表した新庄監督は、キャンプイン前夜に「15試合でジェイ(野村)が結果出なかったら、2軍に落とします」と新たなハードルを与えた。報道を通じてメッセージを受け取った野村は「その通りだなと。僕は思ったより試合数くれるなと思いました」と話したが、開幕から15試合という猶予に甘えるつもりはない。
野村 去年は(開幕から)2試合でスタメンを外れた。開幕カード、そこが重要かなって思っていた。開幕スタメンは結構やらせてもらっているけど、なかなかスタートダッシュが苦手かなって自分は思っているので、そこは気合を入れてやっていければ。
3月28日から敵地で西武と戦う開幕3連戦を、「開幕4番」から「真の4番」になる試金石に設定した。
開幕カードの出場は3度あるが、21年と23年は安打も打点もマーク。ただ、昨季は開幕2試合が無安打で3戦目はスタメン落ち。苦しいシーズンの起点となったことで鬼門となった。
重圧はあるが、自力で突破するしかない。「普通は受けられないプレッシャー。ありがたく成長の場に使わせてもらおうかなと思います」。殻を破ってチャンスをつかむ覚悟を示した。【木下大輔】