今季の球春が到来した。巨人阿部慎之助監督(45)は恐怖の“ガン見”キャンプを敢行する。1月31日、午前中に宮崎神宮を参拝。宿舎入りし、全体ミーティングを行った。2月1日からの春季キャンプはハードメニューを予告。ついてこられなければ脱落、即ファーム降格のデスマッチが開戦する。宮崎空港での歓迎セレモニーでは「選手たちが練習してるのをたくさん見て、感動して帰っていただければ」とファンに呼びかけた。就任2年目、セ・リーグ連覇と日本一奪回に挑む。
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宮崎神宮の参道を歩く阿部監督の眼光は鋭かった。あごを引き、真っすぐに前だけを見た。ちょうず舎で体を清め本殿に向かった。そっと手を合わせ「あんまりお祈りしすぎてもね、神様に怒られてしまうんで、神様に感謝するだけでした」とここまでの感謝に終始。1月31日に参拝して、2月1日のキャンプインを迎える。「いよいよ始まるなというのを実感してます」とプロ入りから20年以上、このサイクルを続けるだけに、自然と心身のスイッチが入る。
就任2年目。昨季の初々しさを残しつつも経験則から明確な手法を提示した。「とにかく見てるよ、俺は。みんなを。そういうキャンプにして、いろいろと考えようかなと」とグラウンドの隅々まで目を光らせる。オフ期間中の成果も判断材料になる。「練習をしてきたか、体調どうなのかなとか。若い選手は特に質より量を求めてキャンプもやると言ったからね。やってない選手はファームに行ってもらう」とばっさり。「自分でやったって言ってもね。人から評価されるものだから。そういうとこは厳しく見ていきたいなと思います」と宣告した。
ただ、厳しさだけを求めているわけではない。相当のハードメニューが待ち受けることが予想されるが「練習するときは思いっきり練習して、休むときは休んで、遊ぶときは遊んで」と一辺倒よりもメリハリを重視。甲斐、田中将、マルティネス、キャベッジと新戦力が加わり、レギュラー争い、1軍生き残りの争いは激しさを増す。指揮官は「そんなのは勝手にやってくれればいい。オープン戦まで見て、考えようかなと思います」と冷静沈着だった。
今季もセ界に、球界に、“新風”を吹かせようじゃねぇか。【為田聡史】