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【潜入】DeNA編成チームのプロスカウト「アップサイクルスカウティング」とは?/後編


次世代のスカウティングの確立を目指すDeNA長谷川編成部長(球団提供)

<潜入:DeNAのスカウティング手法・後編>

野球のうまさだけで評価しない「第3世代のスカウティング」を打ち出しているDeNAの編成チーム。昨年12月には初めての試みとして、スカウト陣がスカウティングに関する意見交換を目的に海外サッカー3クラブを訪問。ドラフト1位の竹田祐投手(25=三菱重工West)を担当した藤田和男アマスカウト(44)らが参加し、最先端のメソッドを肌で感じた。【取材・構成=小早川宗一郎】

   ◇   ◇   ◇

最先端の海外サッカークラブのスカウティング。DeNAが打ち出す「第3世代のスカウティング」と相通ずるものがあった。藤田アマスカウトは言う。

「僕らが目指しているところだなと率直に感じました。かけ離れているというよりは、目指していたものが確立されているなと感じました。評価の仕方とか人の見方。例えばアーセナルだと、こういう人材が欲しいというのが明確にあってそれが達成できる選手を獲得する。スタッフ全員にもそれを求めていて、そこは共感できました」

選手が幼いころから、人柄を見極めるために、多くの時間を費やす。ルール上の壁がある野球界では不可能な方法で入り込んでいた。

「目を付けた選手を1回アカデミーに体験で入れて、アカデミーコーチに評価させて人間性もちゃんと見ると。短くても2週間、長くて1年くらいの体験期間があるそうです。野球界はそれは無理ですけど、それだけ回数を重ねないと評価できないんだというのは改めて感じました。1回、2回見るだけでなく、勝ってる試合、負けてる試合、出てない試合、いろんな角度から見ないといけないなと感じさせられました」

アマスカウト1年目、いきなり担当した竹田がドラフト1位で指名されることになった。当然、ベイスターズで活躍できるかどうか、人柄の部分までしっかりと見極めた。

「たまたま三菱重工Westに他にも候補選手がいて、半分はその選手、半分は竹田を見に行ってました。人間性で言うと偉そうにしないですよね。先輩も後輩もいましたけど、練習試合で投げてなくてもボールボーイしたり、スタンドでファウルボールをとりに行ってたり、そんな印象でした」

「第3世代のスカウティング」はドラフトだけでなく、プロスカウトや新外国人の獲得でも採用している。昨季は中川颯、佐々木、堀岡、森唯と助っ人のジャクソン、ケイ、ウィック、フォードと新戦力が軒並み活躍した。長谷川編成部長は言う。

「明確にやり方を変えました。プロスカウトでは『アップサイクルスカウティング』と名付けてやっています。アップサイクルとは眠っているものをもう1回掘り出し、新たな付加価値をつけて、新しいものへとアップデートさせるという意味で、まさに目指していたものでした。昔で言う野村再生工場のスカウティング版のようなもので。今回来てくれた岩田将貴選手、笠谷俊介選手、三森大貴選手、浜地真澄選手も同じくアップサイクルできる選手だという評価をさせてもらっています」

プロはアマよりも豊富なデータがある。その強みは生かしつつ、人間性やベイスターズとの相性もポイントになる。

「前の球団でどういうトレーニングしていたのか、どういう指導受けているのか。うちに来たらもっと伸びしろあるかもね、とか。練習姿勢や野球への向きあい方も含めてベイスターズに来た時に、まだまだ伸びる余地があるかどうか、野球に夢中で居続けられるかどうかですね」

少年のような心で純粋に野球を楽しみ続けられるか。選手だけでなく個々のスカウトにも地力アップは欠かせない。その意味でも今回の海外サッカークラブの視察出張は藤田アマスカウトの他に、吉見祐治プロスカウト、五十嵐英樹プロスカウト、横山道哉アマスカウト、若杉健太国際スカウトら経験豊富な面々が手を上げた。企画した長谷川編成部長は「すごく頼もしいなと思いますし、僕らもスカウトのプロとして日々能力を上げなきゃいけない、って部分を体現してくれたところがうれしかったし、誇らしいです」と胸を張った。DeNAの編成チームが次世代のスカウティング確立へ、挑戦と成長を続けていく。(この項終わり)

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