第97回選抜高校野球大会の出場32校を決める選考委員会が24日、大阪市内で行われる。9地区と21世紀枠の展望は以下の通り。
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■北海道(1校)
昨秋の北海道大会で優勝した東海大札幌が確実。クラーク、札幌日大、北海といった実力校との対戦が続いたが、いずれも接戦を制して頂点に立った。選出されれば、センバツ出場は、準優勝した15年以来10年ぶり7回目となる。当時の校名は東海大四。現校名では初の甲子園だ。
■東北(3校)
昨秋の東北大会を制した聖光学院と準Vの青森山田の選出は決定的だ。3枠目は4強の花巻東と山形中央の一騎打ち。花巻東は東北大会で秋田商、鶴岡東と各県の1位校を撃破。一方の山形中央は、岩手1位の一関学院に勝利した。山形勢3校全てが東北大会8強入りと実力があり、山形3位といえども侮れない。選考は難航しそうだ。
■関東・東京地区(7校)
横浜が27年ぶりに神宮大会を優勝したことで、「神宮大会枠」が関東地区に割り当てられる。これにより一般枠で6校が出場する「関東・東京」がプラス1となった。
地区別の割り振りは、「関東5、東京2」の公算が大きい。昨秋の東京大会決勝は延長12回タイブレークの末に二松学舎大付が優勝も、準Vの早実も実力的には劣っていない。2校選出が有力だ。
関東は横浜、関東大会準Vの健大高崎(群馬)、同4強の浦和実(埼玉)、千葉黎明の4校は「当確」といって問題ない。神宮大会枠として得た残り1校の行方は、関東大会8強の東農大二(群馬)つくば秀英(茨城)山梨学院、佐野日大(栃木)で争う形となりそうだ。
■東海(3校)
大垣日大と常葉大菊川の選出が確実。残り1枠を、至学館と岐阜第一が争う。至学館は東海大会準々決勝で尾崎陽真投手(1年)が3安打完封勝ち。準決勝では先制も常葉大菊川に逆転負けした。岐阜第一は同大会の全3試合で先制した攻撃力が持ち味。試合内容では岐阜第一、地域性では至学館が優勢か。
■北信越(2校)
北信越大会Vの敦賀気比と、準Vの日本航空石川の2校で決まりか。敦賀気比は明治神宮大会2試合で2桁安打と打撃のチーム。日本航空石川には昨春センバツで登板した蜂谷逞生投手、長井孝誠投手の経験豊富な2年生2枚看板がいる。4強には高岡第一、21世紀枠候補の小松工が名を連ねる。
■近畿(6校)
昨秋の近畿大会で4強入りした東洋大姫路、智弁和歌山、天理、市和歌山の選出は確実だ。5枠目は滋賀大会を制し、近畿大会初戦で3連覇中だった大阪桐蔭を破った滋賀学園が有力とみられる。最後の1枠は同1回戦で大阪王者の履正社を下した滋賀短大付と、大阪勢で唯一8強入りした大院大高のどちらか。地域性のバランスを優先するなら、大院大高がやや優勢か。京都王者の立命館宇治は市和歌山に大敗したのが響きそうだ。
■中国(2校)
昨秋の中国大会を31年ぶりに制し、明治神宮大会では初出場で準優勝を飾った広島商は当確。米子松蔭は鳥取大会で準Vながら中国大会で決勝まで勝ち上がっただけに、選出は決定的だ。昨夏の大社旋風が記憶に新しい島根勢の公立の星として、元広島の山本翔監督(41)率いる矢上、岡山大会を制した岡山学芸館が4強入り。逆転での選出を狙う。
■四国(2校)
四国大会を制した明徳義塾と準優勝の高松商に当確ランプがともる。明徳義塾は昨夏の甲子園で100球未満の完封勝利「マダックス」を飾った2年生左腕・池崎安侍朗と、1年春にベンチ入りし、昨夏から正捕手の里山楓馬がチームを盛り上げる。同4強の鳴門渦潮、新田の逆転選出は難しそう。
■九州(4校)
昨秋九州大会王者の沖縄尚学と準Vエナジックスポーツの沖縄勢、4強の西日本短大付、柳ケ浦は当確だ。沖縄勢2校選出となれば、11年ぶり。沖縄尚学は最速150キロの1年生左腕、末吉良丞投手を擁すなど戦力は整っている。エナジックスポーツはエース左腕、久高颯(2年)が軸。育徳館、21世紀候補の壱岐、有明、鹿児島実が8強入りも、番狂わせの可能性は低そう。
■21世紀枠(2校)
久慈(岩手)は11年の東日本大震災で被災地となり、16年と19年の台風では浸水被害を経験。地域の過疎化が進む中で困難を乗り越え、昨秋の岩手大会で3位に食い込んだ。離島の壱岐(長崎)は練習試合の機会が限られる中、春秋通じて初めて九州大会に出場し8強入りした。ほかにも、能登半島地震の影響が続く石川県の小松工は、北信越大会4強入りの実力校。昨年9月の豪雨では部員が復旧作業に参加した。夏の地方大会に第1回から出場中の伝統校・山城(京都)、部員11人ながら中国大会8強の大田(島根)も候補入り。候補校のうち、横浜清陵(神奈川)、名古屋たちばな(愛知)、高松東(香川)、壱岐は春夏を通じて甲子園出場経験がない。