ソフトバンクは16日、巨人にFA移籍した甲斐拓也捕手(32)の人的補償として、右腕の伊藤優輔投手(28)を獲得したと発表した。背番号は「42」。最速150キロ超の本格派で、昨季はプロ初登板を含む8試合に登板して防御率1・04の好成績を残した。今オフの投手補強は4人目。ソフトバンクがFAの補償で人的を選択するのは初めてだった。
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ソフトバンクが遅咲きの本格派右腕を獲得した。伊藤は20年ドラフト4位で巨人に入団も、プロ1年目の21年11月に右肘のトミー・ジョン手術。育成再契約を経て24年7月に3年ぶりの支配下復帰を果たし、同年はプロ初登板を含む8試合に登板して、0勝0敗、1ホールド、防御率1・04の好成績を残した。最速も150キロ超。今月14日に28歳の誕生日を迎えたばかりで、伸びしろは十分だ。
三笠杉彦取締役GM(50)はみずほペイペイドームで取材に応じ「いいピッチャーが取れてよかった」とご満悦だった。昨季は2軍でも40試合に登板し、4勝0敗、14セーブ、防御率1・29を記録しており、同GMは「ポテンシャルと伸びしろがあるということを期待して」と球団初の人的補償の選択に至った。起用法については「先発の可能性もありますし、中継ぎでロング、回またぎで投げてくれる可能性もある」と言及。小久保監督や倉野1軍投手チーフコーチの意見も交えて定めていく。
年明け前は現役ドラフトで上茶谷、交換トレードで浜口、メジャー帰りの上沢を獲得した。今回の“補強”と合わせ、投手の新戦力は実に4人目。球団は積極的に編成に動き、三笠GMは「競争が大変になると思うんですけど、相対的に見て(投手陣の)底上げが必要だと考えているので」と意図を語った。絶対的な正捕手だった甲斐の流出はかなりの痛手だったが、将来有望な右腕を新たに迎え入れた。
伊藤は巨人球団を通じて「4年間のジャイアンツでの経験を糧にしてソフトバンクホークスで活躍し、日本シリーズでジャイアンツと戦えるように頑張っていきたい」などと所信表明した。リーグ連覇、5年ぶりの日本一に向けて、早速気合十分だ。【只松憲】
◆伊藤優輔(いとう・ゆうすけ)1997年(平9)1月14日生まれ、東京都出身。都立高の小山台ではエース兼主将として14年春の甲子園に21世紀枠で出場。中大ではリーグ通算8勝。社会人の三菱パワーを経て20年ドラフト4位で巨人入団。1年目の21年11月に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)を受け育成契約に。24年7月24日に支配下登録され、同30日阪神戦で1軍デビュー。1軍通算8試合、0勝0敗1ホールド、防御率1・04。178センチ、82キロ。右投げ右打ち。