新天地でプレーする足場を固めた。巨人甲斐拓也捕手(32)が12日、大分市内で自主トレを公開した。足元をジャイアンツカラーのオレンジに統一してグラウンドに登場。7球団8人の後輩を引き連れ、約5時間にも及ぶハードなメニューを消化した。通算1023試合に出場してきた百戦錬磨の男も競争の立場を強調し。レギュラーをつかみ取り、リーグ優勝と日本一に向かって突き進む。
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午前9時過ぎ。甲斐の足元はジャイアンツカラーで映えていた。巨人のソックスにオレンジの差し色が入ったシューズを履いて姿を見せた。「新しく今年からジャイアンツでやるということで、気持ち新たにもう1度やっていかないといけない。(捕手は)勝って評価されると思っています」と強い覚悟をにじませた。
チームが変わっても浮足立つことはない。「何も変わったことはないかな」。今年も後輩たちを引き連れて地元の大分に帰還した。午前中は守備練習、午後は打撃練習に時間を充て、攻守にわたって下半身を中心に強化した。昼食時には、報道陣とファンに大分名物の「中津からあげ」や「クロメたこ焼き」が入った弁当や、交流のある錣山部屋のちゃんこ鍋を振る舞う気遣いも見せた。
さらなる成長のために他競技の選手との交流も継続していく。昨年ツアー初優勝を果たした女子プロゴルファーの阿部未悠(24)が2年連続で自主トレに参加。ゴルフクラブで飛球を打ち上げる「ゴルフノック」を敢行し「未悠ちゃんのパワーをもらっている気になってる。また今年、お互いがいい1年になれば」と笑顔を見せた。
横一線のスタートを自覚する。ベストナイン3回、ゴールデングラブ賞7回など、輝かしい実績を誇るがセ・リーグでのプレーは初めて。「セ・リーグの野球をやることの難しさを感じることもあると思う。僕も競争していかないといけない立場。ポジションは1つですから、そのポジションで試合に出られるように」。国際大会で優勝も経験した“世界一の捕手”が足元から見つめ、セ界に飛び込む。【水谷京裕】